2026.10.30
まだ、諦めなくていい。
こんにちは、WAM三木校です。
10月も終わりに近づき、朝晩はかなり肌寒くなってきましたね。
季節の変わり目ですので、皆さまも体調管理には十分お気をつけください。
さて季節の変わり目を感じやすくなったこの時期がくると、「いよいよ受験が近づいてきたな」と実感することが増えてくるのではないでしょうか。
「勝負の夏」と言われる夏休み。志望校合格に向けて、これまで以上に勉強に打ち込んだ受験生も多いと思います。
しかし夏休みが終わって約2か月。頑張ったからこそ、現実とのギャップに悩むこともあるのではないでしょうか。
夏休みにはあれほど意欲的に勉強していたのに、思うように成績が伸びない。
一生懸命勉強しているのに、模試や診断テストでは結果が出ない。
周囲の友達が志望校を決めていくなかで、自分だけが取り残されているような気持ちになる。
そんな不安や焦りを抱えながら、それでも毎日机に向かっている受験生に私自身、心を動かされることが何度もあります。
今日はある中学3年生との出来事について書こうと思います。

―――「先生、志望校を変えようかな。」
ある日のことです。授業が終わり、時計の針が22時に近づいていた頃、一人の中学3年生が私に話しかけてきました。
「先生、志望校を変えようかな。」
その子は中学2年生の終わりからWAMに通い始めた生徒です。入塾当初から決して順風満帆だったわけではありません。苦手なところもあれば、思うように勉強が進まないこともありました。
それでも授業を重ねるなかで少しずつ変化が見られるようになり、3年生になって最初の定期テストで5教科合計100点以上伸ばしてきました。
自習室にも足を運ぶようになり、以前は難しかった問題が解けるようになって、努力が結果につながる経験も積んできました。
しかし、受験勉強はそう簡単にはいきません。
学校の定期テストでは成果が出ていても、診断テストでは思うような点数が取れない。
勉強しているのに、志望校との距離がなかなか縮まらない。
そんな状況が続き、本人の中で進路に対する迷いが大きくなっていたのでしょう。
志望校について話すたびに、その希望が少しずつ変わっていく様子も見られました。
そんな状況の中で、その子が口にしたのが「もう私立高校にしようかな」という言葉でした。

―――――夢があることは、素晴らしい
誰もいなくなった教室で、その子の話に耳を傾けました。
昔からピアノを習っていて、中学生になった今も続けていること。
将来は音楽関係の仕事に就きたいこと。そのために音楽を学べる高校に進みたいということ。
本人はそんな思いを話してくれました。
好きなことを将来の仕事にしたいという夢を持っていることを、私は率直にとても素敵だと思いました。
一方で、少し気になることがありました。
その高校で学びたいという思いが、今回の進路変更の一番の理由なのだろうか。
それとも思うように結果が出ない今の状況から少し距離を置きたくなっているのだろうか。
もちろん進路を変更すること自体が悪いわけではありません。自分に合った環境を考え直すことも大切です。
ただ、私はその子がこれまで努力してきた姿を見ていました。だからこそ、どうしても確かめたいことがあったのです。
「やりたいことがあって、それに向かって進もうとするのは、とてもいいことだと思う。でも先生には今の苦しい状況から逃げたい気持ちもあるように見えるんよ。実際はどう?」
少し踏み込んだ問いかけでした。
するとその子は、少し考えてから、
「正直、そうです」
と答えました。
やはりそうだったのかと思う一方で、本人も自分の気持ちをうまく整理できずにいたのかもしれないと感じました。
やりたいことがある。
でも、受験勉強が苦しい。
頑張りたい。
でも、頑張っても結果が出ない。
まだ挑戦したい気持ちがある。
でもこれ以上頑張って届かなかったらどうしよう。
人の気持ちは、そんなに簡単に割り切れるものではありません。ましてやまだ中学校3年生です。
自分の将来について考えるなかで、気持ちが揺れ動くのはごく自然なことだと思います。
ただ一つだけ、どうしても伝えたいことがありました。今の自分の可能性を、自分自身で決めつけてほしくなかったのです。

私はその子がWAMに入ってきてからのことを話しました。
最初はできなかった問題が、少しずつできるようになったこと。
苦手なことにも向き合い、努力を重ねてきたこと。
そして、夏休みの面談で一緒に立てた目標のこと。
あのとき私たちは志望校に向けて具体的な目標を決めました。簡単に達成できるものではなかったですが、それでもその子は必死になって頑張っていました。
私はその姿を知っています。
だからこそ、伝えたかったのです。
「ここまで頑張ってきてさ、前よりできることもたくさん増えたよね。」
「まだ可能性があるならね、最後まで頑張ってみようよ。先生は、あなたならできると本気で思っているよ。」
話をするなかで、その子も自分の気持ちとじっくり向き合っているようでした。
しばらくして、その子は「もう少し頑張ってみる」と話してくれました。
その言葉を聞いて、私も改めてこの子と一緒に最後まで頑張っていこうと思いました。
それから少し経って、学校の評定が返ってきました。なんとその子は夏休みに一緒に立てた目標を達成していたのです!!
日々の学習を積み重ね、その努力が一つの結果になったことをとても嬉しく思いました。
そして同時に改めて感じたことがあります。この子には、まだ自分でも気づいていない可能性があると。
受験勉強をしていると、どうしても今の点数ばかりが気になります。
もちろん点数は大切です。志望校に合格するためには現実を見なければなりません。
しかし、今の点数がその子のすべてではありません。
今日できなかった問題が、来月にはできるようになるかもしれない。
今は届かないと思っている目標にも、努力を重ねることで近づけるかもしれない。
私はこれまで何人もの生徒がそうやって成長していく姿を見てきました。だからこそ、目の前の結果だけで自分の可能性を狭めてほしくないのです。
まだ挑戦できる可能性があるなら、私は一度立ち止まって考えてほしいと思います。
努力したからといって、必ず望んだ結果が得られるとは限りません。それでも自分で目標を決め、困難に向き合い、できることを積み重ねていく。
私はその経験に大きな価値があると思っています。