こんにちは、個別指導Wam藤の木校です。
国語の勉強、進んでいますか。学年が進むにつれて読む文章はだんだん難しくなりますよね。
でも、いま学校の外では逆に、「やさしい日本語」が求められています。なぜでしょうか。
一つは日本に住む外国人の数がほぼ毎年増えているためです。「外国人なら英語だろう」と思ってしまいますが、ある調査によると日本語に住む外国人のうち「母語でないとわからない」人はほとんどいなくて、「日本語で会話ができる」と答えた外国人は8割を超え、また別の調査では「希望する情報発信言語」として「やさしい日本語」を選んだ人が最も多く76%だったそうです。
また一つは高齢者や障害のある人に簡潔に伝える必要があるためです。
「やさしい日本語なら簡単だ!」と思ったあなた。確かに聞く分にはよいでしょう、でも話すほうはどうでしょうか。
「俺(私)が使っている言葉なんて、やさしい日本語に違いないよ!」
果たしてそうでしょうか? 学校で知らず知らずのうちに難しい言葉遣いが身についているかもしれません。それに日常会話では阿吽の呼吸で言わなくてもわかるものが多かったり、はやりの言葉や略語をつい使ったりしていませんか。
今回は、「やさしい日本語」がどんなものか、みてみましょう。
まずは単語の場合。
やさしい日本語は、(1)略語を避け、(2)抽象的な言葉や(3)あいまいな表現、(4)複数の意味をもつ表現を使わないように、とのことです。
(1)の「略語を避ける」のは何となくわかりますが、(2)以降の「どういう単語や表現が抽象的とかあいまいとかになるのだろう?」と思いませんか。細かくみていきましょう。
(1)略語
よくない例文:「健診は年1回となります。」
これを「やさしい日本語」に直すと→「健康診断は1年に1回です。」
健診が略語なのはわかるものの、年1回も略語なのですね。
ふだん略語を使い慣れていると、もとの言葉は何だったか忘れてしまいます。「いま言った略語って、もともと何て言葉だっけ」と時折思い出すとよいかもしれません。
(2)抽象的な言葉
例文:「お手続きは、休日はなるべく避けてください。」
→「平日に手続きをしてください。」
例文で何が問題なのだろうと思いますが、なるほど、直接的・具体的に言う方がいいんですね。
(3)あいまいな表現
例文:「ごみ収集車は、月曜日の9時ごろに来ます。」
→「ごみを集める車は、月曜日の午前8時30分から午前9時30分までに来ます。」
「9時ごろ」があいまいなようです。「だって収集車が9時ジャストにくるなんてわからないから、9時ごろとしか言いようがないだろう」と思いましたが、そうか、範囲を指定すればいいのか。
(4)複数の意味をもつ表現
例文:「結構です」→「良いです」か「要りません」かに変える
なるほど、確かに「結構です」は二つの意味があるので、母語の人でないと誤解してしまうかもしれませんね。
他に「いいです」も「OKです」と「要りません」の二つの意味がありますよね。
他には・・・ 何が複数の意味をもつのか、気を付けていないとわかりませんよね。。
まとめると、「単語はできるだけ具体的に、略語に注意して」になります。
単語の場合の注意点はわかったでしょうか。次に文の場合。
避ける点は三つ、(1)二重否定を使わない、(2)受身形や使役表現をできる限り使わない、(3)推測表現を使わない。
推奨する点も三つ、(4)文末は「です」「ます」で統一する、(5)一文を短くする、(6)3つ以上のことを言うときは箇条書きにする。
推奨する点は意識できそうではありますが、避ける点は少し油断すると忘れそうですねえ。
まず避ける点三つ。
(1)二重否定
例文:「在留カード以外は必要ありません。」
→「在留カードを持ってきてください。」
「二重に否定する表現なんてそんなに使わないよ」と思っていたのですが、そうか、けっこう無意識に使っていますね。例の他に、「~ないことはない」「~ないわけではない」「~以上/以外は必要ない」など文はわかりにくくなるので避けましょう。
(2)受身形や使役表現
例文:「住民税は、市町村で課税されます。」
→「住民税は、市町村へお金を払います。」
受け身や使役表現も意識して使っていないので、つい使いそうです。受け身や使役表現は行動の主体(視点)がわかりにくくなるようですので、できるだけ使わないようにしましょう。
(3)推測表現
例文:「避難所は土足禁止のようです。」
→「避難所は靴では入れないかもしれません。」
「おそらく」「ようです」「ではないでしょうか」「可能性があります」「おそれがあります」などの推測表現は使用を避けて、断定的な表現にする方がよいようです。
でも、自信がないときや言い切ってしまうと迷惑かかるかもしれないときって、何気に多くありますよね。断定的な表現を言いにくい場合には「~かもしれません」、「たぶん~です」を使いましょう。
次に推奨する点三つ。
(4)文末は「です」「ます」で統一する
例文:「お越しいただく必要はありません。」
→「来なくてもいいです。」
失礼のないようにとふだんから礼儀として尊敬語・謙譲語を使っている場合、逆に相手が使ってなければなおさら「失礼なやつだ」とか「バカにされているのでは」とか思ってしまいませんか。でも、わかりにくくなるんですよね。
いっそ、尊敬語・謙譲語は使わないで、敬語は丁寧語だけ、「です」「ます」だけの方がよいようです。また、
「可能です」→ 「することができます」
「不可能です」→ 「することができません」
「指示します」→「~してください」または「~しなければなりません」
にする方がよいようです。特に「指示します」というと、「~ましょう」と勧誘の意味で捉えられるおそれがあるのだそうです。
(5)一文を短くする
一文の中に複数の内容が含まれると理解するのが難しくなります。一文に言いたいことは1つだけにしましょう。
例文:「婚姻をするときは、役所に届出をし、届出が受理されると、婚姻が成立します。」
→「結婚するときは、役所に「婚姻届」を出します。役所が「婚姻届」を受理すると、結婚が成立します。」
(6)3つ以上のことを言うときは箇条書きにする
3つ以上のことを言うとき、接続詞で文をつないでいくとわかりにくくなります。
例文:「入会をご希望の方は、窓口にお越しいただくか、ホームページでの申込み、または電話・FAXでお申し込みください。」
→「入会をご希望の方は、3つの申込み方法があります。
いかがだったでしょう。普段から思ったより「難しい日本語」を使っていることに気付いたのではないでしょうか。「やさしい日本語」といっても、作る/話すのには意外に難しいようです。でも、全くできなくはなさそうですよね?
もう一度まとめると、単語は(1)略語を避け、(2)抽象的な言葉や(3)あいまいな表現、(4)複数の意味をもつ表現 を使わない。
文は(1)二重否定、(2)受身形や使役表現、(3)推測表現 を使わない。
その上で、(4)文末は「です」「ます」で統一し、(5)一文を短くし、(6)3つ以上のことを言うときは箇条書きに を心掛ける。
他に、「漢字を多すぎないようにする(ふりがなをつける)」や「ローマ字を使わない(外国人は必ずしもローマ字を日本語の発音のとおりに読めるとは限らない)」などの注意も必要です。
観光地、あるいは避難所で困っている外国人を見かけたとき、「私英語喋れないから」と避けるより、日本語でいいので、上のことに気を付けて話してみてもらえればと思います。
また学校で出された課題作文も、難しく書こうとするより「やさしい日本語」に則って書く方が、わかりやすく言いたいことが伝わりやすくなるかもしれません。英作文も、言いたいことをまず「やさしい日本語」に直してから、英語にする方がよいかもしれませんよ。
最初に書いたように、学年が進むにつれ、国語はだんだん難しくなります。
でも「やさしい国語」もまた、意識するようにしたいですね。
【参考】