教室ブログ

2026.05.11

ナフサのつくりかた

こんにちは、個別指導Wam藤の木校です。

 

アメリカがイランに戦争を仕掛け、ホルムズ海峡が封鎖された結果、ナフサと言われるものが市場から消えつつあるらしい・・・というニュースが最近飛び交っています。

でもそのナフサってなんでしょうか? 今回はナフサのお話です。

 

石油を地下から発掘したままの液体を原油といいます。原油は有機化合物の混合物で、炭素の数が少ないものから多いものまでさまざまな種類の有機物が混ざり合っています。その混ぜこぜの原油を製油所で蒸留して、その中の比較的軽い透明な油の成分をナフサといいます。

現在石油からできる製品にはガソリン・アスファルト・重油・軽油・灯油・ナフサ・LPGなどいろいろあるのですが、軽い油分であるナフサははじめ邪魔者でした。

当初ランプとして使われていましたが、揮発する(=常温で液体が気体になる)ので扱いが難しく、たくさんの死人が出たそうです。そのためランプにはもう少し重たい灯油が使われるようになり、ますますナフサは厄介者になっていました。

第二次大戦後にナフサを(ランプではなく)原料として活用するようになり、日本では1950年代から各地で石油化学コンビナートをつくって様々な用途に利用するようになりました。今やナフサは、原油の10%くらいをナフサとして活用しているようです。直接消費者が使う製品ではないものの、その用途は非常に広く、私たちの日常生活を支える製品の多くに関わっています。

 

ところで石油は、もともと常温常圧下でも特に変化しません。飽和炭化水素といって、これ以上何かと反応しにくい物質なのです。ナフサも飽和炭化水素なので、そのままだと変化しませんが、工場で加工してやると不飽和の状態にもっていくことができます。

不飽和になると不安定になりますが、同じ物質同士でくっついたり、他の物質とくっついたりすることができます。それを組み合わせることで、いろいろなものを生成することができるのです。

ナフサの中でもより軽い(沸点が低い)ものを軽質ナフサ、重い(沸点が高い)ものを重質ナフサといいます。そこからさらに用途が分かれていきます。

軽質ナフサを化学処理して生産されるのがエチレン・プロピレン・ブタジエン・ベンゼンなどです。・・・って、急に専門用語っぽくなりましたが、これらは「基礎化学品」と言われています(基礎化粧品じゃないですよ?)。

 

では基礎化学品であるエチレン・プロピレン・ブタジエン・ベンゼンって何が違うのでしょうか。実は炭素の数の違いです。エチレンは炭素数2個、プロピレンは炭素数3個、ブタジエンは炭素数4個、ベンゼンは炭素数6個でできています。

炭化水素の接頭辞は炭素数によって「メ・エ・プロ・ブ・ペン・ヘキ・ヘプ・オク・ノ・デク・・・」の順に並んでいます。最初の4つ(メ・エ・プロ・ブ)は以下の語呂合わせで覚えましょう。

「メエプロ、ぶった」<羊飼い(羊=メエのプロ)が怒ってぶった>

くさり状につながる炭化水素のうち、二重結合があるものを「アルケン」といい、語尾が「~エン」(レンプロレンタジエン)になっています。なお炭素数1個だけでは二重結合はできないので「メエン」なるものはありません。

つまり基礎化学品というのは、二重結合のある炭化水素、ということですね。

ベンゼンも同じ「~エン」ですが、少し違い、他の炭化水素がくさり状であるのに対し、ベンゼンは6個の炭素が正六角形の頂点にある環状の有機化合物です。

 

これらの基礎化学品は、さらに加工されて以下のような最終製品になります。

エチレン              ポリエチレン(レジ袋・容器・包装材)・PVC(塩化ビニル管)など

プロピレン           ポリプロピレン(食品容器・自動車部品)・アクリル繊維など

ブタジエン           合成ゴム(タイヤ・ゴム製品)など

ベンゼン              ナイロン・ポリエステル・合成樹脂・洗剤など

私たちが日常的に使っているペットボトルやプラスチック容器、衣類、タイヤ、建築材(接着剤や塗料など)など、数え切れないほどの製品がナフサを出発点として作られているのです。

また医療や衛生用品にも関係しているのも、ナフサが大きな問題となっている背景があるでしょう。

 

ナフサからつくられる製品の多くは「ポリ~」という名前がついていますよね。「ポリ~」は小さい化合物を繰り返し結合して大きな化合物にしたものです。

例えば、エチレンを人工的にえんえん結合させてさせてさせて、くさり状にしたものがポリエチレンとなります。

合成ゴムも、別名ポリクロロプレンというので「ポリ~」のなかまですよね。

 

ナフサの中でもこのような基礎化学品(軽質ナフサ)は、ナフサから半分程度取れるので海峡が封鎖されても国内に十分あるのですが、重質ナフサはナフサから15%くらいしか取れないので、重質ナフサ(トルエンやキシレン)の加工品であるシンナーや塗料、インクなどがいま不足がちだそうです。

 

以上、ナフサについて書いてきました。

はじめは不要・邪魔者だったものが、欠かせないものになったナフサ。現代の生活は、ナフサをはじめとした石油にこんなにも依存しているんですね。今回ホルムズ海峡が閉鎖されて初めて、ガソリン以外にも石油に頼っているんだということを実感させられました。

今回のお話は、半分くらい高校の化学で習う内容です。難しく思われたかもしれませんが、高校化学でもこれだけのことをマスターできるということです。まだ高校にまで至ってない方、「高校化学ではこんな内容もするんだ」と、楽しみにしていてくださいね。

 

【参考】

ナフサからできるものは何?種類・用途・灯油やガソリンとの違いをわかりやすく解説

TBS Radio Podcast Session「ナフサは足りてる?足りてない?イチから学ぶ「ナフサ」」2026.5.22OA

東京書籍「化学」H24検定教科書

卜部吉庸(2013)「化学の新研究」三省堂

 

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