教室ブログ

2023.11.30

読書感想文や作文の必殺技

こんにちは、個別指導Wam藤の木校です。

 

長期休みの宿題に読書感想文を書く小学校・中学校は多いのではないでしょうか。富山県は課題の選択がある学校も多く、作文や感想文を通らずに来た人もいるようですね。

あまり読書に馴染んでいない人にとって読書感想文は無理やり読まされて苦痛でしかなく、やっと読んだと思ったらもうひとつの難関・感想文を書かなくてはいけません。筆者は作文が下手で大学受験対策で小論文模試を受けた際には校内最下位を取ったこともあります。

よく考えてみると学校の授業で作文の書き方を習った記憶のある人は案外少ないのではないでしょうか。そう考えると、書き方を習っていない作文が宿題になっているということに文句の一つも言いたくなりますよね。

 

できる人にとっては「作文なんて国語の授業を受けていれば自然に身につくものだ」と思うかもしれません。特に今はメールやSNSなどで気軽に発信できてしまうので、「作文なんて話すように書けばいいんだ」という人もいるでしょう。でも、自分が書いた文章が他人にもわかりやすいとは限りません。また友達の間ではわかっても、他の人にはわからない/わかりにくい/誤解しているかもしれません。一時期には「○○ってあるけど、あれって~だよね。」のような形式での文章しか作れない若者が増えたとニュースに取り上げられるほどでした。

友達同士でなくても誰でも、読む側にとってわかりやすい文章、少なくとも誤解されにくい文章を書くにはどうすればよいのでしょうか。

 

例えば、次のような文があるとします。

 

花が咲いた。

 

これは“「花が」が修飾語で「咲いた」は修飾される語”、あるいは“「花が」が主語で「咲いた」は述語”などと説明されますが、ここでは「かかる言葉」と「受ける言葉」とします。

※上記例は主語と述語を使用しているため、学校では主語と述語と学習したり、英語では主語(名詞)と動詞と分解されて訳されることもあります。

わかりやすい文章の最も重要な原則は、この「かかる言葉と受ける言葉は直接つなぐこと」、つまり「かかり受け関係」を遠くに離さないことです。実に簡単な原則ですが、わかりにくい文章にはこれが無視されていることが案外多いのです。

 

私は母が弟に裏庭でスミレの花が咲いたかどうか見てくるように言ったのを聞いていた。

 

少しわかりにくくなりました。「文章が長いからわかりにくいのだ」と思う人もいるかもしれませんが、文章の長短とわかりにくさとはあまり関係ありません。この場合「かかる言葉」と「受ける言葉」が離れすぎているからわかりにくいのです。両者を直接つなげれば次のようになります。

 

スミレの花が裏庭で咲いたかどうか見てくるように母が弟に言ったのを私は聞いていた。

 

どうでしょうか。先の文章では「私は…聞いた」の間にかかり受け関係にある言葉がいくつも入れ子になっていて、文法的には正しくてもわかりにくくなっています。その場合は入れ子を外してやればよいのです。

中学生以上の学生や英語が得意な方は分かると思いますが、英文の日本語訳でも同じことを頭の中で考えている人は多いと思います。

しかし、私たちの周りには「かかる言葉」と「受ける言葉」をあまり意識していない文章がいくらでもあります。例えば次の文は、あたかも模試の問題に出てきそうな、一流大学の教授が書いた文章の一部です。

 

同時に、この流動性に富むということは、いかなる経済的な環境・変化にも順応することができる。

 

何か変なように感じませんか。「この流動性に富むということは」を「順応することができる」で終わりとしてしまっては、入れ子の「底」が抜けています。「底」とは入れ子の中をカギでくくったときの「閉じカギ」のことです。この場合、例えば「できるということである」として「ことである」という「底」をつけてあげればよいでしょう。

このようにどこかおかしい文章を確認・修正するためには、入れ子の外側をはずして直結してあげればよいのです。

 

まとめると、作文を書く際は次のことに配慮した方がよいでしょう。

・「とじカギ」(受ける言葉)はあるか(入れ子の「底」はちゃんとあるか)

・かかり受け関係は正しくあるか

・かかり受けは直接繋がっているか

 

このことは国語の読解においても応用できます。文章を読んでいてよくわからないところがあったら、その一文の中でかかり受け関係にあるのはどこかを考え、傍線を引くなどすると文意がより理解しやすくなるでしょう。作文だけでなく、国語の試験や文章読解で手を使わずただ目をやっているのはもったいないので国語や英語が苦手な人は手を使った工夫をしてみてください。

もっとも、先に書いた例文「同時に、この流動性に…」のように、欠陥のある文章もあったりしますので、そのときは(模試の最中に怒っても仕方ないので)黙って笑って修正してあげましょう。

 

「作文なんて自然に身につくはず」と思っていると、一人よがりの文章を身につけたまま大人になるのはよくあることです。自分では「こう書いてあれば誰が見てもわかりやすいに違いない」と思っても、人からみるとそうでもないかもしれません。反対に「そもそも日本語が特殊な言語だから、私の文章が悪いのではない、誰にとってもわかりやすい文章なんて無理なのだ」と諦めてしまうのもどうかと思います。

ふだんのSNSでの投稿でも、少しだけでも誤解されにくい/わかりやすい文になるよう気をつけるようにしたいですね。

ここでは原則を一つしか挙げられませんでしたが、もう少し知りたい人は参考文献に挙げた本を手にとってもらえればと思います。

 

WAM藤の木校では作文など科目や学校の細かな単元にとらわれない”苦手の全般”を対策する授業を行っています。

冬休みの宿題で困った方や、来年の進級で不安なことがある方は是非お気軽にお問い合わせください!

 

【参考文献】

本多勝一「中学生からの作文技術」朝日新聞社

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