2018.06.30
新刊
こんばんは。Wam六十谷校の川口です。 結城浩さんの数学ガールの新刊を読みました。ポアンカレ予想が主題ですが、それに至るまでの道のりが丁寧で惹きつけられます。 時々クイズなどでも見かける一筆書き(ケーニヒスベルクの橋の問題)はオイラーが最初に証明したことが知られています。オイラーは何気ない一筆書きの問題に数学を見つけました。論文内でも”位置の幾何学”という表現を引用しています。そして後に位相幾何学と呼ばれるようになるこの分野はポアンカレが立ち上げました。 グラフが一筆書きできるならば、次数が奇数になる頂点は0個または2個である(ただし、頂点と辺の個数はどちらも有限とする。また、連…
2018.05.29
類型
こんばんは。Wam六十谷校の川口です。 本屋さんやネットで本を探していると何を読もうか迷いますが、物語にはある程度のパターンがあります。物語の類型として、ウラジーミル・プロップは31の機能分類と7つの行動領域を挙げています。人類は進化とともに各地に広がりましたが、ある現象に遭遇した人間が作り出す共通の発想は興味深いものです。例えば折口信夫のいう貴種流離譚(若い神や英雄が他郷をさまよいさまざまな試練を克服し、その結果、神や尊い存在となったとするもの)は国や時代を問わず、ドラマ、アニメ、小説など登場人物を変えて多数作られています。これらは集合的無意識の中での原型ともいえそうです。 過…
2018.04.29
飛翔
こんにちは、Wam六十谷校の川口です。 外のハエが多くなってきました。 未だに生物の飛翔については謎が多いです。研究しやすいのは鳥類で、体の割に物凄いスピードで飛びますが、障害物に当たることは稀です。鳥類は網膜に血管系が形成されておらず、油球という細胞内小器官を持ち、光波長を選択できます。また、人が色を感じるために持っている視物質より多くのそれを持ち、紫外線も視ることができます。そして、衝突の約1秒前に活動するニューロンが存在しており、体内時計を使って障害物の見かけの大きさを微分し、ぶつかるまでの時間を求めているようです。このようにして計算された衝突までの時間は物体…
2018.03.30
圧縮
こんばんは、Wam六十谷校の川口です。 英語をタイプしていると物凄い量を打ったつもりなのに情報量の少なさに愕然とすることがあります。文字自体が難解ではありますが、中国語や日本語は情報圧縮能力でアルファベットより優れていると思います。特に文字数制限のあるコミュニケーションツールで効果的ではないでしょうか。例えば”情報圧縮能力”の12バイトが英語だと”Information compression ability”と31バイトほどになります。情報理論における最大エントロピーで換算すると常用漢字は英数字の2.3倍以上になり、漢字における冗長度は特に高く、可逆圧縮も可能です。平仮名で表せることを漢字で
2018.02.15
暗記
こんばんは、Wam六十谷校の川口です。 生理学的に見ると脳のシナプスは10の14乗個ありますが,人は10の9乗秒しか生きられません。サンプル数よりパラメータ数の方がずっと多いことになり、直接経験することより多くの情報を処理していかなければなりません。脳のシナプスの重みを決定するためには1秒あたり105個の制約が必要となり、得た情報に対して本質的な構造を見抜くための理解が必要になります。 最近自分の記憶力を鍛えるためにいろいろな覚え方を試していますが、記憶力を向上させるポイントにはいくつかあるようです。1つは、「環境刺激」です。外部からの情報は、まず感覚記憶で捉えられ…
2018.02.04
赤気
こんばんは、Wam六十谷校の川口です。 2月に入りました。去年から読んでいた平安後期から鎌倉を生きた藤原定家の明月記は1180年の2月、治承四年から始まります。 礼式や典故、官職などに関する描写に熱心であり、手記であるので生活や愚痴などがほとんどですが、当事の宮中、貴族の実態を描写している貴重な資料です。しかし、晦渋な漢文で書かれているため通し読む人はほとんどおらず、しかし国文学など研究書には頻繁に引用されるので、そのために存在しているかのごとき異様さを持ちます。 定家は歌人としての潔癖さをもっており、遊興に耽る後鳥羽院に辟易しながらもその実力を認めら…
2018.01.09
6174
こんにちは、Wam六十谷校の川口です。 2018という数字は素因数分解すると2と1009です。素数だった2017と違い、おもしろみがなさそうな数字ですが、2018は13と43の平方和で表せます。また4桁以上の偶数なので、整数の桁を並べ替えて、最大にしたものから最小にしたものの差を取る操作を繰り返すと6174になるカプレカ数でもあります。そういうこと考えているとそれが何の役に立つのかと思うこともありますが、森博嗣さんの『冷たい密室と博士たち』の犀川助教授の台詞で、 「だいたい、役に立たないものの方が楽しいじゃないか。音楽だって、芸術だって、何の役にも立たない。最も役に立たないという
2017.12.29
abc
こんばんは、Wam六十谷校の川口です。 今年も一年が終わろうとしています。先日望月教授の論文の査読が完了し、正式にABC予想の証明が認められました。朝日新聞ではトップ記事で、思わず生徒に感動を伝えておりました。 新聞やニュースの内容では整数aと整数bの和がcのときに成立する特別な関係を示す、などと曖昧な記述でその価値が伝わりませんが、これはワイルズやペレルマンの業績と並ぶ今世紀の数学史上最大の発見だと言えます。 ABC予想の内容は理解しやすいです。aとbを素因数分解した際の互いに異なる素因数の積を根基(radical)と言います。a+b=cとし、 c<rad(abc) がなることがほとん…
2017.12.18
糖分
こんにちは。Wam六十谷校の川口です。 寒いせいか最近甘いものが食べたくなります。和菓子も洋菓子も好きですが、糖分の取り過ぎは気になるところです。 佐藤健太郎さんの炭素文明論の中では、糖の歴史を辿っています。当初インドなどで育てられていたサトウキビによる白糖の精製から始まり、砂糖はアフリカ、ヨーロッパにも拡がっていきます。アメリカ大陸発見後も、海岸沿いにサトウキビプランテーションが広大な土地を埋め尽くし、これらは土地を激しく痩せさせ、焼畑とともに行われることで産業を育たなくさせるため、代替品が求められていました。 19世紀後半にはサッカリンやアスパルテームなどの合成…
2017.12.07
クリスマス
こんにちは。Wam六十谷校の川口です。 12月に入り、クリスマスツリーや飾りを見かけることも多くなりました。勉強にクリスマスはあまり関係がないですが、クリスマス定理と呼ばれているフェルマーの定理があります。何故このように呼ばれるかと言うと、フェルマーがメルセンヌに証明が出来たと手紙を送ったのが1640年12月25日だったからだそうです。メルセンヌといえばメルセンヌ素数で有名な人です。2のn乗-1が素数であるメルセンヌ素数は2進数変換すると必ず1のみの数となる不思議な素数で、素数判定法であるリュカテストでコンピュータでの素数探索にも有用です。 小定理や最終定理で有名な
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