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2026.10.21

子どもを理解するには、一つの理論だけでは足りない|個別指導で大切にしていること

子どもを理解するには、一つの理論だけでは足りない|個別指導で大切にしていること

子どもの勉強を理解しようとするとき、教育心理学や認知心理学、発達に関する研究など、さまざまな分野の知識が役立ちます。

ただ、実際に教室で生徒と向き合っていると、一つの理論だけでは説明できない場面に何度も出会います。

勉強への意欲、言葉の理解、記憶の使い方、物事を順序立てて考える力。これらは別々のものではなく、一人の生徒の中で互いに影響し合っています。

だからこそ、目の前の生徒を理解するには、複数の視点を組み合わせて考えることが大切だと感じています。

目次

勉強ができない理由は、一つではない

例えば、英語の問題で同じような間違いをしている生徒が二人いたとします。

一人は、文法のルールを十分に理解できていないのかもしれません。もう一人は、説明を聞けば理解できるものの、問題を解くときに必要な情報を頭の中にとどめておくことが難しいのかもしれません。

あるいは、単語や文法の知識は身についているのに、英文の構造を捉えることが苦手な場合もあります。

答案に表れている間違いは同じでも、その原因が同じとは限りません。

原因が違えば、必要な指導も変わります。文法の理解が不十分な生徒には、ルールを整理して説明する必要があります。一方、情報を一度に処理することが難しい生徒には、問題を小さな段階に分け、一つずつ確認する方法が合うかもしれません。

間違いを直すことだけを考えるのではなく、なぜその間違いが起きたのかを考える。そこから、指導の方向性が見えてきます。

知識を持っているだけでは、子どもを理解できない

教育心理学では、意欲や自己効力感、周囲からの承認などが学習に与える影響について考えます。認知心理学では、記憶や注意、情報を理解する仕組みなどを扱います。また、発達や神経多様性に関する知識からは、一人ひとりの認知特性や学習上の困難を理解する手がかりが得られます。

こうした知識は、子どもを理解するうえで大切なものです。

しかし、理論を知っていることと、目の前の生徒に何が起きているのかを理解できることは、同じではありません。

例えば、問題が解けずに手が止まっている生徒がいたとします。知識が足りないのかもしれませんし、問題の意味を捉えられていないのかもしれません。以前に何度も間違えた経験から、自信を失っている可能性もあります。

さらに、説明を聞いている間は理解できていても、いざ自分で解こうとすると、何から始めればよいのかわからなくなることもあります。

こうした場面で、すぐに「やる気がない」「集中力がない」と判断してしまうと、本来必要だった指導を見落とすことがあります。

一つの理論や特性だけですべてを説明しようとせず、いくつもの可能性を考えながら、生徒の反応を確かめていく必要があります。

一人の生徒の中で、さまざまな要因が影響し合う

実際の学習では、記憶や理解の難しさが、そのまま勉強への気持ちに影響することもあります。

例えば、一度に多くの情報を処理することが難しい生徒に対して、長い説明を続けたとします。説明の途中で最初の内容を忘れてしまえば、話のつながりがわからなくなります。理解できない状態が続けば、不安や焦りが生まれ、「自分にはできない」と感じてしまうかもしれません。

このとき、表面に見えているのは、集中できていない様子や、問題に取り組もうとしない姿かもしれません。しかし、その背景には、情報を処理する負担や、理解できなかった経験の積み重ねがある可能性があります。

反対に、勉強への不安が強いことで、普段ならできる問題でも力を発揮できなくなることもあるでしょう。

このように、認知面の課題、学習経験、感情、意欲は、互いに影響し合っています。

だからこそ、目に見える行動だけで判断するのではなく、その行動につながっている要因を考えることが大切です。

もちろん、限られた情報だけで原因を決めつけることはできません。仮説を立て、実際の学習の様子を観察し、説明の仕方や課題の出し方を変えながら確かめていく。その繰り返しが、生徒への理解を深めていきます。

理論を、目の前の生徒に合わせた指導へつなげる

学問の世界では、専門分野ごとに研究が進められています。それぞれの分野を深く学ぶことには、大きな意味があります。

一方で、教室にいる生徒は、教育心理学や認知心理学といった分野ごとに分かれているわけではありません。さまざまな要因が一人の中で結びつきながら、日々の学習に表れています。

そのため、指導する側には、個々の知識を持つだけでなく、それらを関連づけて目の前の生徒を理解する姿勢が求められます。

説明の仕方を変えれば理解できるのか。問題を細かく分ければ、自分で解き進められるのか。基礎に戻って学び直す必要があるのか。それとも、まずは小さな成功体験を積み重ね、自信を取り戻すことが大切なのか。

生徒の反応を見ながら、こうした判断を重ねていきます。

個別指導の良さは、目の前の生徒の理解度や反応に合わせて、説明や問題の難易度、復習の進め方を調整できることです。

同じ学年で、同じ単元を学んでいても、必要な指導は一人ひとり異なります。知識を一方的に伝えるだけでなく、その生徒にとって理解しやすい形に組み立て直すこと。それが、理論を実際の教育につなげるということだと考えています。

子どもを理解することから、指導は始まる

勉強が苦手な生徒を前にしたとき、すぐに努力不足と考えたり、一つの特性だけで説明したりするのではなく、まずは何が難しくなっているのかを考える。

そのためには、学習内容の知識だけでなく、意欲や感情、記憶、理解の仕組みなど、さまざまな視点が必要です。そして、それらを目の前の生徒の様子と結びつけて考えることが大切です。

もちろん、すべての原因をすぐに見つけられるわけではありません。指導をしながら、生徒の反応を見て、考え、必要に応じて方法を変えていくこともあります。

当校では、生徒一人ひとりの理解度や学習の様子を見ながら、授業の進め方や復習の方法を考えています。

同じ「わからない」という言葉の中にも、さまざまな理由があります。その違いを少しずつ理解し、その生徒に合った学び方を一緒に見つけていく。

子どもを理解することは、指導を始めるための出発点です。目の前の生徒をよく見て、その子に必要な学びを考え続けることを、これからも大切にしていきたいと思います。

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