教室ブログ

2023.02.23

【共通テスト現代文10年分講評ー12】2019年②

【2019年 小説】

【上林暁『花の精』】

 

 

【全体講評】

 

やや難。25分。

 

前年度は「キュウリ」、

今年度は「トマト」。

難易度は前年度並み。

 

リード文を熟読。

今年度も先立たれている…。

妻は入院中だし…。

月見草は雑草と間違われ抜かれるし…。

 

「評論文」は「論理」を

しっかりマスターすれば、

満点か1ミスでの突破は十分に可能。

 

しかし「小説」は中々難しい。

時間を気にして

スピードを上げ過ぎて読むと、

あるいは自分の世界に

入りこんで読んでしまうと、

2ミスくらいしてしまう可能性も。

 

評論文で0ミス&小説で2ミス、

評論文で1ミス&小説で1ミス、

評論文の漢字と小説の語句で1ミス、

合計3ミス以内で

なんとか80%以上死守を目指したい。

 

 

【本文要旨】

 

私は妻が長期入院中、

妹は夫に先立たれた。

傷心のふたりは、

私は花畑を、妹は菜園をつくることで、

心の穴を埋めようとした。

 

釣りに行く友人の0君に連れられ、

月見草を物色しに多摩川沿いへ。

月見草に興味なさそうだったO君も、

最後には興味を持ってくれたようで

嬉しかった。

 

その帰り道、

サナトリウム(療養所)が目に入り、

急に入院中の妻を思い出し、

ただただ妻の平穏を願い、

胸がいっぱいになった。

 

しかしその後、

まるで私を迎えるように咲き誇る

「月見草の群落」に遭遇し、

先程の感傷が吹っ飛ぶほど感動した。

 

最後に電車の窓から見た

「月見草の原」は、

まるで花の天国のようで、

憂いに満ちた日常から

解放されるように感じた。

 

 

【設問解説】

 

<1> 語句の意味。やや難。

アは③、イは①、ウは②が正解。

アは②、ウは④が紛らわしい。

 

<2> 心情説明。標準。

正解は③。

①は「いっしょに野菜を育てる」が×。

私が育てるのは草花。しょうもな。

②は「妹に気遅れ」

が本文からは読み取れず×。

④は「妹に対する居心地の悪さ」

が本文からは読み取れず×。

⑤は「妹の姿に将来の希望を見出した」

が×。妹は妹、私は私である。

 

<3> 理由説明。やや難。

正解は⑤。

いきなり⑤を選ぶのはタフ。

相対的判断が必要で難しい。

①は紛らわしいが、

「O君の行動の意外性」

に触れられておらず×。

②は「月見草を傷付けまいと」

が本文になく×。

③も紛らわしい。

この設問のポイントである

「O君が私の気持ちを

察してくれた」がないから×。

④は「違いを考慮せず

無造作に持ってきた」が×。

44行目に、O君の

「月見草には匂いがあるものと

ないものがある」とのセリフがある。

 

<4> 心情説明。標準。

正解は②。

①は「忘れようと努めていた」

が本文から読み取れず×。

③は「現実との落差に対する

失望感」が本文から読み取れず×。

④は「妻の病を忘れていたことに

罪悪感」が本文から読み取れず×。

⑤は「妻が退院できないのではとの

不安」が本文からは読み取れず×。

 

<5> 心情説明。やや難。

正解は①。

勝手に妄想して、

「ハッピーエンドな選択肢」

に惑わされないこと。

ラストの「月見草の原=花の天国」

のシーンは、

あくまで「私」の心情・実存が

揺さぶられるシーンであって、

ここでは「妻」は直接は関係ない。

だから「妻がきっと良くなる」

のような③や⑤は不正解。

②は「庭に月見草が復活する確信」

が本文から読み取れず×。

④は「死後のイメージ」が

「マイナス」で×。

むしろ「天国」の

「プラス」イメージだ。

しかし③か⑤を選んでしまった

受験生も悪くないと思う。

だって小説を読むってのは

「想像力」だから。

その想像力が行き過ぎると、

「客観テストの国語」の正解率に、

時に影響を及ぼしてしまう。

が、ついつい行き過ぎるくらいの

「想像力」を持って「濃密な読書」

が出来る人生は幸福です。

 

<6> 表現。標準。

正解は④と⑥。

センター試験の伝統芸能の

「消去法」で解く「表現」問題。

時間さえあれば難しくないが、

時間がないので難しい。

センター試験(特に共通テスト)は、

「思考力」と言うなら

受験生に時間をあげて下さい。

現行の共通テストはむしろ逆で、

「じっくり考える」より

「速読即解処理能力テスト」な印象。

じゃあ「思考力」とか言わないで。

①は「妹が快活な性格」

が本文からは読み取れず×。

②は「体言止め」だからと言って

「印象深い記憶であったことを強調」

するとは言えず×。

③は「緊迫感」が×。

「草原がサァサァと音を立てながら」

とか、むしろ全然緊迫感ないです。

⑤は「短い文を繰り返すこと」が、

「私の状況が次第に悪化していく

過程を強調」とまでは言えず×。

「月見草の群落」を見て感動したり、

「月見草の原」が天国に見えたり、

むしろ私の状況は

少しずつ良いほうへ向かっている。

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