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2023.02.22

【共通テスト現代文10年分講評ー11】2019年①

【2019年 評論文】

【沼野充義

『翻訳をめぐる

七つの非実践的な断章』】

 

 

【全体講評】

 

20分。標準。

 

前年度よりやや易化。

問4以外は紛らわしい選択肢もなく、

短期間で満点も可能。

 

当然ながら、

設問に先に目を通す。

特に傍線が付されていない設問、

表現の特徴を問う設問に注視し、

それらで問われていることを

留意しながら問題文を読むこと。

そうすることで濃淡をつけた

スピーディーな読解が可能になる。

 

たとえば今回であれば、

問5で、

「五人の生徒が翻訳について話すのか、

本文は翻訳についての話なんだな」

と察しをつけたり、

問6で、

「4段落と12段落になったら

スピードを落としてじっくり読もう」

と意識したり。

 

 

【本文要旨】

 

筆者は翻訳家である。

「全く異なる文化背景と言語も超えて、

きっと理解してもらえる」、

「そもそも翻訳なんて原理的に不可能、

言語の本質を弁えていない迷妄」、

そんな楽観と悲観の間で揺れている。

 

「文化と言語を超えて理解を目指す」

…翻訳とは、

ある意味では奇跡のような作業である。

翻訳不可能な慣用句はいくつもある。

それを近似的な「言い換え」で、

乗り切る翻訳手法がある。

「I love you」=「月が綺麗ですね」。

 

翻訳は

「正確な翻訳」と「自然な翻訳」

の間で常に揺れ動いている。

そして読者に

言語哲学は関係ないので、

読者はおおむね後者を好む。

とかく翻訳は難しい。

 

 

【設問解説】

 

<1> 漢字。やや難。

アは③、イは②、ウは④、

エは③、オは②。

「丹念」「丹誠」がやや難、

「傾倒」「周到」がやや紛らわしい。

 

<2> 内容説明。標準。

「傍線部に指示語があれば

それはもはや指示語問題」。

「その」=「奇跡を信じる」=

「異なった文化と言語を超えて

理解されるはずと信じる奇跡」。

正解は④しかない。

 

<3> 理由説明。標準。

「回避」=「向き合わずに逃げる」の

意味がいちばん出ている②が正解。

①は「日本語のあいまいさを利用」

が本文にない。

③は「原文の忠実な際限が翻訳の理想」

が本文にない。

ひろゆきさんで言うところの

「それはあなたの感想ですよね?」

状態。

④は「直訳的な翻訳が翻訳不可能で

あることを伝える」が意味不明。

⑤は「成功例などを参考に」がなし。

 

<4> 要旨。やや難。

正解は②。

①は「一対一で対応」が本文になし。

③は「標準的原文も非標準的原文も」

が本文になし。

④は「時代を超えて通用する」

が本文になし。

⑤は「効率的に伝える」が本文になし。

 

<5> 会話。標準。

「消去法」で解く。

「異なる発言」を選ぶことに注意。

正解は②。

「時代や文化の違いを意識させず」

が本文にないし、主旨に反する。

むしろ逆で、筆者は

「時代や文化を超え理解される奇跡」

について述べている。

 

<6(i)> 表現。標準。

「消去法」で解く。

「適当でないもの」を選ぶ。

④が正解。

「懐かし感情」は表されていない。

回顧しているだけで「感傷」はない。

 

<6(ⅱ)> 構成。標準。

「消去法」で解く。

②が正解。

①は「支持する立場を一方に確定」

はさせていない。

③は「きっかけ」は紹介されていない。

④は「筆者の考える正しさ」

は示されていない。

 

問4か問5のどちらかの1問ミス、

あとは全勝で乗り切りたい。

また、過去に例をみないほど短時間

(力がある受験生なら20分程度)

で仕上げられうる問題であった。

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