「42と63の最大公約数ってどうやって求めるの?」——お子さんに突然聞かれて、固まってしまった経験はありませんか。
学校で習ったはずなのに、いざ教えようとすると「割り算で全部書く方法」「素因数分解」「連除法(すだれ算)」と複数のやり方が頭の中で混ざってしまう。教え方を間違えれば子供は混乱してしまう——これは、個別指導WAMの保護者面談でも本当によくいただくお悩みです。
この記事では、個別指導WAMの教育プランナーが、最大公約数でつまずく親子向けの基本から応用までを網羅した3つの解法を徹底解説します。
Contents
1. 最大公約数って何? — 5分でわかる基礎の整理
解法に入る前に、言葉の定義を整理しましょう。ここが曖昧だと文章題で立式を間違えます。
1-1. 約数・公約数・最大公約数の3つを言葉で整理
3つの言葉を、12と18を例に整理します。
| 言葉 | 意味 | 12と18の例 |
|---|---|---|
| 約数 | その数を割り切れる整数 | 12の約数: 1, 2, 3, 4, 6, 12/18の約数: 1, 2, 3, 6, 9, 18 |
| 公約数 | 2つ以上の数に共通する約数 | 12と18の公約数: 1, 2, 3, 6 |
| 最大公約数 | 公約数の中で一番大きいもの | 12と18の最大公約数: 6 |
ポイントは「最大公約数は、公約数を全部書き出した中で一番大きい数」というシンプルな定義です。これさえ押さえれば、3つの求め方はすべて「公約数を効率よく見つける手順」だと理解できます。
1-2. 最小公倍数との違い
つまずきの第1位は「最小公倍数と混同する」ことです。
混同しないコツ
- 「最大」公約数 → 約数だから、もとの数より小さい(または等しい)
- 「最小」公倍数 → 倍数だから、もとの数より大きい(または等しい)
「最大」という言葉に惑わされず、「約数だから小さくなるはず」と確認する習慣をつけましょう。
1-3. 学習のメリット
最大公約数は小5で習いますが、これは分数の約分の道具でもあります。最大公約数でパッと割れるようになると、算数全体のスピードが上がります。
2. 最大公約数の求め方3つ — どれを選ぶ?選択フローチャート
ここからが本題です。最大公約数の求め方は3つあります。どれが正しい・間違いではなく、「使い分け」が大事です。以下の選択フローチャートで、お子様に合う方法を選びましょう。

2-1. 方法1「約数を書き出して見つける」(基本・小5標準)
学校で最初に習う方法です。両方の数の約数を全部書き出し、共通する約数の中で一番大きいものを選びます。
手順
- それぞれの数の約数を全部書き出す
- 共通している約数(公約数)に印をつける
- その中で一番大きい数を選ぶ
おすすめ場面: 数が小さいとき(30以下くらい)。授業で習った直後の確認に最適。
2-2. 方法2「素因数分解で求める」(中学受験向け)
数を素数のかけ算に分解して、共通する素数を取り出す方法です。中学受験塾で重宝されます。
手順
- それぞれの数を素因数分解する(例: 12 = 2 × 2 × 3、18 = 2 × 3 × 3)
- 共通する素因数を取り出す
- 取り出した素因数を全部かけ合わせる
おすすめ場面: 数が中くらい〜大きいとき(100以上)。3つ以上の数のときも応用しやすい。
2-3. 方法3「連除法(すだれ算)」(WAMおすすめ・テスト用)
L字型の枠を作り、両方の数を素数で同時に割り続ける方法です。テストで正確に解けるため、WAMでは小5以降の標準解法として教えています。
手順
- 両方の数を、共通して割り切れる素数で割る
- 商をその下に書く
- もう共通して割り切れる素数がなくなるまで繰り返す
- 左側に並んだ数を全部かけ合わせる → これが最大公約数
おすすめ場面: 数の大きさを問わずオールマイティ。3つ以上の数も同じ枠で解ける。

3. 例題で解く!3つの求め方ステップ
ここからは、例題4題で実際に解いていきます。すべての例題に立式→計算→検算の3ステップを併記しています。検算まで見せる解説書は意外と少ないので、ぜひお子さんと一緒に手を動かしながら読んでください。
3-1. 例題A: 12と18の最大公約数(方法1で解く)
問題: 12と18の最大公約数を求めましょう。
立式: それぞれの約数を書き出し、共通する約数の中で一番大きい数を見つける。
計算:
- 12の約数: 1, 2, 3, 4, 6, 12
- 18の約数: 1, 2, 3, 6, 9, 18
- 共通する約数(公約数): 1, 2, 3, 6
- このうち最大は 6
答え: 6
検算: 12 ÷ 6 = 2(割り切れる)、18 ÷ 6 = 3(割り切れる)。両方とも余りが出ないのでOK。
3-2. 例題B: 42と63の最大公約数(方法2で解く)
問題: 42と63の最大公約数を求めましょう。
立式: それぞれを素因数分解し、共通する素因数をかけ合わせる。
計算:
- 42 = 2 × 3 × 7
- 63 = 3 × 3 × 7(3 × 21 → 3 × 3 × 7)
- 共通する素因数: 3 と 7(42と63でペアになる素因数を見つける。この場合は、3と7がペア。ペアが作れない場合は掛け合わせない。)
- 3 × 7 = 21
答え: 21
検算: 42 ÷ 21 = 2、63 ÷ 21 = 3。両方割り切れる。さらに 2 と 3 は互いに素(共通の約数が1のみ)なので、これ以上大きい公約数はない。OK。
3-3. 例題C: 60と84の最大公約数(方法3で解く)
問題: 60と84の最大公約数を求めましょう。
立式: 連除法で、共通して割り切れる素数で割り続ける。
計算(すだれ算の枠で書きます):
2 ) 60 84
2 ) 30 42
3 ) 15 21
5 7 ← もう共通して割れる素数がない
左側に並んだ素数: 2, 2, 3
最大公約数 = 2 × 2 × 3 = 12
答え: 12
検算: 60 ÷ 12 = 5、84 ÷ 12 = 7。両方割り切れる。下に残った 5 と 7 は互いに素なので、これより大きい公約数はない。OK。
3つの数のときの注意点
連除法の途中で「2つは割れるけど1つは割れない」という素数が出てきたら、その素数では割ってはいけません。3つの数すべてを割り切れる共通の素数のみ使います。
4. 中学受験頻出 4つの応用題と解き方
最大公約数への理解は、文章題で発揮されます。中学受験で繰り返し出題される4類型を、立式→計算→検算で解説します。
4-1. 応用1「縦横タイル敷き詰め問題」(なぜ最大公約数なのか)
問題: 縦150cm、横180cmの長方形の床に、できるだけ大きい正方形のタイルをすき間なく敷き詰めます。タイルの一辺は何cmで、何枚必要ですか。
なぜ最大公約数?: 縦150も横180も同じ整数で割り切れる必要があるため、その整数は150と180の公約数。できるだけ大きいタイルだから、最大公約数を使います。
計算(連除法):
2 ) 150 180
3 ) 75 90
5 ) 25 30
5 6
最大公約数 = 2 × 3 × 5 = 30
枚数: 縦に 150 ÷ 30 = 5枚、横に 180 ÷ 30 = 6枚 → 5 × 6 = 30枚
答え: 一辺30cm、30枚
検算: 30cm × 5 = 150cm、30cm × 6 = 180cm。ぴったり敷き詰められる。OK。
4-2. 応用2「あめを余りなく分ける問題」(分配)
問題: 24個のあめと36個のチョコを、できるだけ多くの子に同じ数ずつ余りなく配ります。何人に配れますか。
なぜ最大公約数?: 24も36も同じ人数で割り切れる必要があるから公約数。できるだけ多くの子だから最大公約数。
計算(連除法):
2 ) 24 36
2 ) 12 18
3 ) 6 9
2 3
最大公約数 = 2 × 2 × 3 = 12
答え: 12人
1人あたり: あめ 24 ÷ 12 = 2個、チョコ 36 ÷ 12 = 3個
検算: 12 × 2 = 24、12 × 3 = 36。両方ぴったり配り切れる。OK。
4-3. 応用3「余りつき問題」(『3余る・5余る』を引いて最大公約数)
問題: ある整数Xで47を割ると3余り、35を割ると3余ります。もっとも大きいXを求めましょう。
考え方: 「同じ数で割ると同じ余りが出る」ということは、余りの3を引いた数(44と32)が、Xで割り切れるということ。だから、44と32の最大公約数を求めればよい。
計算:
- 47 – 3 = 44
- 35 – 3 = 32
- 44と32の最大公約数(連除法):
2 ) 44 32
2 ) 22 16
11 8
最大公約数 = 2 × 2 = 4
答え: X = 4
検算: 47 ÷ 4 = 11 余り 3、35 ÷ 4 = 8 余り 3。両方とも余りが3で揃う。OK。
※ただし、Xは余り3より大きい必要があります(余りは割る数より小さいルール)。X=4 は余り3より大きいので問題なし。
4-4. 応用4「差から求める問題」(中学受験頻出パターン)
問題: ある整数Xで58を割っても86を割っても、同じ余りが出ました。Xとして考えられる数のうち、最大のものを答えましょう。
考え方: 「同じ余りが出る」ということは、(86 – 58) = 28 がXで割り切れるということ。つまり、Xは28の約数。最大のXを問われているので、28そのもの……ではなく、注意が必要です。Xは余りより大きい必要があるため、最大の約数を順に試します。
計算:
- 86 – 58 = 28
- 28の約数: 1, 2, 4, 7, 14, 28
- 大きい順に試す:
– X = 28 → 58 ÷ 28 = 2 余り 2、86 ÷ 28 = 3 余り 2 → 余り一致、OK
答え: X = 28
検算: 余りはどちらも2。差が28、Xも28、差はXで割り切れる(28 ÷ 28 = 1)。OK。
差から求める問題の頭の使い方
「2つの数を同じ整数で割ったら同じ余りが出た」と書いてあったら、まず2つの数の差を取る。その差の約数の中から答えを探す——この考え方をマスターすれば、中学受験のこの類型に対応できます。
5. よくある「つまずき」と対策
小学生が間違えがちな4つのパターンを紹介します。先回りして言語化しておくと、家庭でも気づいてあげられます。
- 最小公倍数と混同: 「約数だから小さくなる」と意識させる。
- 書き漏らし: 約数は必ずペア(1×12, 2×6…)で書き出す。
- 連除法のミス: 共通して割れる素数がなくなるまで繰り返す。3つの数の時は「全部が割れる数」のみを使う。
- 1の忘れ: 共通の素因数がない(互いに素)場合、最大公約数は「1」である。
6. 保護者向け 教え方Q&A — 5分で教えるコツ
6-1. Q1 連除法と素因数分解、子にはどちらを教えればいい?
A. 順番に2段階で教えてください。第1段階は方法1(割り算で全部書き出す)で「最大公約数とは何か」を腹落ちさせる、第2段階で方法3(連除法)をテスト用の道具として導入します。最初から連除法だけ教えると、文章題で何を求めているか分からなくなる可能性もあるため、素因数分解は中学受験準備があるご家庭のみで構いません。
6-2. Q2 子が「全部書き出す」やり方をやめてくれない
A. やめさせる必要はありません。むしろ、数が30以下のうちは方法1のほうが早いことが多いです。100を超える数の問題が出てきたら、自然と「これは時間がかかりすぎる」と感じ、連除法に移行する動機が生まれます。親が先回りして「もう書き出しはダメ」と言うと、最大公約数の本質理解が浅いままになります。
6-3. Q3 中学受験塾と学校でやり方が違うとき混乱しないか
A. 個別指導WAMの面談でもよくいただく質問です。塾は連除法・素因数分解、学校は割り算で書き出しという二重構造になりがちです。対策は「3つの解法はどれも正解。場面で使い分けるだけ」と最初に伝えること。子は「学校で連除法を使ったら怒られた」のような事例で混乱するので、「学校では先生のやり方に合わせる、塾では塾のやり方」と割り切るルールを家庭で決めておくとスムーズです。
6-4. Q4 ユークリッド互除法を小学生に教えていい?
A. 公立小学生には不要です(中学・高校の単元)。ただし、難関中学受験を目指していて連除法を完全に習得した小6には、「大きい数を小さい数で割って、その余りでまた割り続けると最大公約数が出る」という考え方だけ紹介すると、応用題で便利な場面があります。深追いはしないのがコツです。
7. 1週間で定着 — 練習プランと自作問題15題
最大公約数は、1日10分×1週間で定着します。個別指導WAMの家庭学習設計でも採用している曜日割プランをご紹介します。
7-1. 月〜日の練習メニュー(曜日割)
| 曜日 | 内容 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 月 | 方法1(書き出し)で5問 | 10分 |
| 火 | 方法3(連除法)で5問 | 10分 |
| 水 | 方法2(素因数分解)で3問 | 10分 |
| 木 | 3つの数の最大公約数(連除法)で3問 | 15分 |
| 金 | 文章題(タイル・分配)2問 | 15分 |
| 土 | 文章題(余り・差から)2問 | 15分 |
| 日 | 1週間の振り返りノート+苦手だけ復習 | 10分 |
ポイントは、毎日違う解法を回すこと。同じ解法ばかりやると、文章題で「どの解法を使うか」が選べなくなります。
7-2. テスト前日の最終チェックリスト
- 連除法の枠が即座に書ける
- 「最大公約数は約数だから小さい数」の判別ができる
- タイル・分配・余り・差の4類型のどれかをパッと判定できる
- 検算(割って余りが0になるか)を必ずする
- 互いに素のとき答えが「1」になることを忘れない
このチェックリストを目に見える場所に貼っておくと、テスト前日の総復習が短時間で終わります。
まとめ
最大公約数は、「概念の書き出し」から始まり「実戦の連除法」へと段階を踏んで習得するのが一番の近道です。特に文章題では、問題文が「分ける(約数)」なのか「繰り返す(倍数)」なのかを見極める力を養いましょう。
個別指導WAMでは、約数の書き出しから連除法、文章題への応用まで、お子さんの理解度に合わせて段階的に指導しています。「家で教えると親子でぶつかってしまう」「文章題になると手が止まる」という場合は、一度ご相談ください。
