「クラスのほとんどの子がスマホを持っているらしいの。うちも買ってあげた方がいいのかな——」。中学進学を控えたお子さんから初めて「スマホがほしい」と言われた夜、賛成と反対の声を頭の中で何度も天秤にかけて、結論が出ないまま朝を迎えた経験はありませんか。
ニュースを開けばSNSトラブルや学力低下の話題、一方で「持っていないと友達の輪に入れない」という現実。賛否どちらの主張にも一理あるからこそ、保護者は判断に迷います。
この記事では、こども家庭庁やNTTドコモ モバイル社会研究所などの直近のデータ(2024〜2025年公表分)に基づき、「中学生にスマホは必要か」を客観的に検証します。
「みんな持っているから」ではなく、データと家庭の状況にもとづいた納得の意思決定を、ご一緒に組み立てていきましょう。
Contents
1. アンケートに見る現状:所有率は約8~9割
2024〜2025年に公表された主要調査では、中学生のスマホ所有率は概ね8〜9割に達しており、「持っていない方が少数派」というのが現在の実態です。
1-1. 主要機関の所有率データ比較

| 調査主体 | 公表年 | 対象学年 | スマホ所有率 |
|---|---|---|---|
| こども家庭庁「青少年のインターネット利用環境実態調査」 | 2023年 | 中学生全体 | 89.1% |
| NTTドコモ モバイル社会研究所「子ども調査」 | 2024年 | 中学2年生 | 80%超 |
| NTTドコモ モバイル社会研究所「子ども調査」 | 2025年 | 中学3年生 | 約90% |
| 東京都(同種調査) | 2025年 | 中学生全体 | 90.4% |
> 出典: こども家庭庁「令和5年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」/ NTTドコモ モバイル社会研究所「2024年・2025年 子ども調査」
1-2. 所有率低年齢化の進行
NTTドコモ モバイル社会研究所の調査では、所有開始の年齢が年々早まっており、男子は平均10.4歳、女子は9.9歳と発表されています。女子は調査開始以来初めて10歳を切り、低年齢化が顕著です。中学進学のタイミング(12歳前後)では過半数が既に所有しており、夏休み明けにはほぼ全員が持つ状態になるケースも珍しくありません。
1-3. 「持っていない子」は本当に少数派か?
所有率約9割という数字は「自分専用機」を指します。残りの約1割は、「家族と共有のタブレットを使う」「キッズケータイで通話のみ」といった運用をしています。「スマホを持たない=完全に通信手段なし」ではないということを、まず押さえておきましょう。
2. 保護者の賛否とその理由:論点の違いを理解する
中学生にスマホを持たせるべきか否かについて、保護者の意見はほぼ二分されています。MMD研究所(2023)の調査では、「持たせるべき(53%)」「持たせるべきでない(47%)」と拮抗しています。
2-1. 賛成派/反対派の理由トップ3
| 順位 | 賛成理由 | 反対理由 |
|---|---|---|
| 1位 | 緊急時の連絡手段 | トラブルの可能性 |
| 2位 | 防犯対策として | 睡眠リズムの崩れ |
| 3位 | 子どものマナー理解 | 視力の低下 |
賛成派は「安全・インフラ」を重視し、反対派は「生活への悪影響」を懸念していることがわかります。つまり、「緊急連絡手段は確保しつつ、トラブル・悪影響をどう防ぐか」という運用設計こそが解決の鍵となります。
2-2. 賛否データを並べて読み解くと見えるもの

3. 持たせた後に何が起こるか — 利用時間・トラブル・成績の最新統計
検討にあたって避けて通れないのが、所有後の負の側面に関するデータです。
3-1. 中学生のスマホ利用時間は1日平均5時間超
中学生のスマートフォン利用時間は1日平均約5時間とされています。学校・塾・部活・睡眠を差し引くと、平日の自由時間の大部分がスマホ接触に費やされていることになります。
3-2. 利用時間と学力の関係 — 7万人調査で示された「反比例」
東北大学加齢医学研究所が仙台市の小中学生7万人を対象に実施した大規模調査(川島隆太教授ら)では、スマホ利用時間が長いほど成績が下がる「反比例の関係」が統計的に確認されています。
特に注目すべきは、「1日3時間以上スマホを使う子どもは、勉強時間や睡眠時間を確保していても成績が平均未満にとどまる」という結果です。
> 出典: 東北大学加齢医学研究所「スマホ・ネット使用時間と成績の関係」(仙台市標準学力検査と並行調査、川島隆太教授) 研究者が思わずゾッとした「子どものスマホ使用時間と偏差値の関係」(PRESIDENT Online)
WAMで中学生の指導をしていると、定期テストで急に点数が落ちるお子さんの多くに、共通して「夜のスマホ時間が増えた」という背景があります。前述の調査結果と現場感は一致しています。
3-3. SNSトラブル・誹謗中傷・課金トラブルの発生率
株式会社アシロが高校生以下の子どもを持つ親4,259人に対して実施した調査(2023年)では、「お子さんにスマートフォンを持たせていますか?」という質問に対して、44%が「持たせている」と回答しました。
また、スマホを所持している子どもの約20%(5人に1人)が、何らかのスマホトラブルを経験したと回答しました。
主なトラブル類型は以下の通りです。
| トラブル類型 | 主な事例 |
|---|---|
| SNSいじめ・誹謗中傷 | グループLINE外し、名指しの中傷投稿 |
| 課金・購入トラブル | アプリ・ゲームで高額な課金、ワンクリック詐欺 |
| 個人情報流出 | 顔写真・住所のSNS公開、ネット上のなりすまし |
| 出会い系トラブル | 知らない大人との接触 |
| 視聴時間の暴走 | 動画・ゲーム依存、深夜利用 |
> 出典: 株式会社アシロ「子どものスマホトラブル実態調査」(2023)、PR TIMES掲載
5人に1人という発生率は、決して他人事ではない数字です。フィルタリングや利用時間制限などの予防策とセットで考える必要があります。
4. 判断3軸チェックリスト — 我が家はどうすべきか?
ここからは、ご家庭で意思決定するための実践フェーズです。WAMで保護者の方に提示している「判断3軸」を共有します。

4-1. 軸1: 生活軸 — 通信手段の必要性はどれくらい高いか
次の3点に「YES」がいくつ当てはまるかを確認します。
- 部活・塾・習い事で帰宅が19時以降になることが週3回以上ある
- 共働き等で保護者と子どもの行動時間がずれている
- 友人との連絡手段がスマホでないと成立しない部活・委員会に所属している
YESが2つ以上 → 通信手段の必要性は高い(キッズケータイ含め何らか必要)
YESが1つ以下 → 学校・家の電話で代替可能なケースが多い
4-2. 軸2: 学業軸 — 利用時間を自己管理できそうか
- 1日のスケジュールを自分で決めて守れた経験がある(例: ゲーム時間を1時間で切り上げた等)
- 直近の定期テストで自己ベストを更新した、または平均点を上回っている
- 「使いすぎたら一時的に取り上げる」という親のルールを受け入れる素地がある
YESが2つ以上 → 自己管理力は十分。利用時間ルールを設けて持たせる価値が高い
YESが1つ以下 → 機能制限機やフィルタリング前提での導入を検討すべき
4-3. 軸3: 安全軸 — SNSトラブルへの耐性
- インターネット上の情報に「これは怪しい」と気づける素地がある
- SNSで嫌なことがあったとき、保護者や先生にすぐ相談できる関係性がある
- 個人情報(名前・学校・住所)をネットに書かないルールを理解している
YESが2つ以上 → スマホ導入後のトラブル耐性は高い
YESが1つ以下 → SNS利用は段階的に解禁(まずはLINEのみ、Instagram等は中3以降など)
【判定】3軸のYES合計数
- YES合計 7〜9: 一般的なスマホでルール運用
- YES合計 4〜6: 機能制限機(キッズスマホ)や段階的解禁
- YES合計 0〜3: キッズケータイ、または見送りを推奨
家庭環境やお子さんの性格によって配分は変わるため、最終的な決定はご家庭の状況に合わせて調整してください。
5. 失敗しないための「家庭ルール」5ステップ
判断3軸で「持たせる」と決めた場合、トラブルを防ぎ、学習時間を守るために家庭ルールが必須です。ここでは、トラブル発生率を半減させるための5つの設計ステップを紹介します。
5-1. ステップ1: 利用時間の上限を「見える化」する
成績への影響データを踏まえると、平日は2時間以内、休日は3時間以内が一つの目安です。「ダラダラ使わない」よりも「1日◯時間まで」と数字で決める方が、お子さん自身も納得しやすくなります。
スマホ本体の「スクリーンタイム」(iPhone)・「Digital Wellbeing」(Android)・「ファミリーリンク」(Google提供)を活用すれば、保護者が遠隔で利用時間を管理できます。
5-2. ステップ2: 寝室への持ち込みを禁止する
睡眠リズムの崩壊を防ぐ最大の対策は、「夜21時に充電器の場所(リビング)に置く」というルールです。寝室にスマホを持ち込むと、就寝後にこっそり使うリスクが高くなります。
5-3. ステップ3: フィルタリングを必ず設定する
携帯3キャリア(ドコモ/au/ソフトバンク)・MVNO各社は、青少年保護のためのフィルタリングサービスを無料提供しています。中学生は「中学生モード」相当を初期設定し、必要に応じて段階的に解除します。
5-4. ステップ4: SNSの利用範囲を段階的に決める
中学1年: LINEのみ(家族・親しい友人グループ)
中学2年: + Instagram(鍵アカウント)
中学3年: + 必要に応じてX(旧Twitter)等
このステップ構造は絶対ではありませんが、「最初から全SNSを開放しない」点だけは厳守を推奨します。アシロ調査の5人に1人のトラブル経験者の多くが、SNSの過剰露出に起因しています。
5-5. ステップ5: 月1回のルール見直しミーティング
家庭ルールは「決めて終わり」ではなく、月1回お子さんと話し合って見直すのが理想です。点数の変化・睡眠時間の変化・SNSでの出来事を共有しあう時間を取ることで、隠れトラブルの早期発見にもつながります。
6. 個別指導なら、スマホとの両立支援が可能です
WAMの個別指導では、「スマホを使う時間」と「勉強する時間」を一緒にスケジューリングするアプローチを取っています。一方的に「禁止」するのではなく、無理なく守れるルールを一緒に「仕組み化」する。これが長続きする秘訣です。
体験授業では、お子さまの生活リズム・スマホ利用状況・勉強習慣を丁寧にヒアリングし、「スマホと両立できる学習計画」をご提案します。「うちの子、スマホが心配で…」というお悩みも、まずはお気軽にご相談ください。
7. よくある質問(FAQ)
Q. クラスでうちの子だけ持っていなかったらかわいそうですか?
A. 約1割は自分専用スマホを持っていません。キッズケータイや家族共有端末で代替している家庭も多く、「持っていない=孤立」とは限りません。ただし所有率の高い学校・地域では友人関係への影響が出るケースもあるため、判断3軸の生活軸で確認してください。
Q. 格安スマホでも問題ない?
A. 機能的には問題ありません。ただし、フィルタリング設定がキャリアより複雑な場合があるので、契約時に必ず相談してください。
Q. 「みんな持ってる」と言われたらどう答える?
A. データ的には正しい(中学生の8割が所有)ですが、「みんなが持っているからではなく、わが家の方針で決める」と伝えましょう。お子さま自身が判断軸を持つことが重要です。
Q. 兄弟姉妹で時期をそろえるべき?
A. 必ずしも揃える必要はありません。それぞれの「準備が整ったタイミング」で渡すのがベストです。
Q. スマホを持たせたら成績は下がる?
A. 「使い方次第」です。学習アプリ・調べ物中心に使えば成績はむしろ上がるケースもあります。SNS・動画・ゲームの長時間利用が成績低下の主因です。
Q. ルールを作っても守られなかったらどうしますか?
A. 月1回のルール見直しミーティングをセットで設計することをおすすめします。「ルール違反=即取り上げ」だけでは反発を招きやすいため、お子さんと一緒に再設計する場を用意することで、自律的な利用管理に近づきます。
まとめ
「みんな持っているから」という理由だけで決める必要はありません。フルスペックのスマホ、機能制限機、あるいは持たせないという選択肢の中から、ご家庭の状況に最適な形を選びましょう。
もし、学習との両立やルールの作り方で迷われた際は、個別指導WAMの無料学習相談もご活用ください。スマホの利用状況も含めて、家庭学習の時間をどう確保するかを一緒に整理できます。スマホを一方的に禁止するのではなく、学習時間・睡眠時間・自由時間のバランスを見ながら、お子さんに合った学習計画を考えていきましょう。
参考文献・出典
- こども家庭庁「令和5年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」(2024年公表) https://www.cfa.go.jp/policies/youth-kankyou/internet_research
- NTTドコモ モバイル社会研究所「2024年 子ども調査」(2024年3月公表) https://www.moba-ken.jp/project/children/kodomo20240311.html
- NTTドコモ モバイル社会研究所「2025年 子ども調査」(2025年1月公表) https://www.moba-ken.jp/project/children/kodomo20250130.html
- 株式会社アシロ「子どものスマホトラブル実態調査」(2023年公表、PR TIMES掲載) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000210.000032382.html
- 東北大学加齢医学研究所 川島隆太教授ら「研究者が思わずゾッとした「子どものスマホ使用時間と偏差値の関係」小中学生7万人調査でわかった衝撃の事実」https://president.jp/articles/-/69373?page=1
