教室ブログ

2024.04.25

アメリカ議会って何してる?

こんにちは、個別指導Wam藤の木校です。

 

アメリカの大統領選挙が話題になっていますね。

大統領選挙は4年ごとに行われるので、うるう年の年は大統領選挙です。オリンピックもうるう年にあるので、オリンピックのある年は大統領選挙の年、と覚えてもよいかもしれません。

今回の大統領選挙は現・大統領バイデンと前・大統領トランプとの一騎打ち。どちらもどこか問題で、またそこそこ高齢なので、どちらになっても不安だよねという人も多いかもしれません。

注目されている大統領選挙ですが、アメリカの政治というと大統領の話題ばかりのような気がします。でも当たり前ですが、日本と同じくアメリカにも議会があります。

アメリカの議会は何をしているのでしょう? 大統領がいるだけで、他は日本と同じなのでしょうか?

 

 

およそ半年前の2023年10月、アメリカ議会のひとつ・下院で、共和党のケビン・マッカーシー議長が解任されました。アメリカで下院議長が解任されたのは史上初めてだとか。

もう少し正確にいえば、マッカーシー議長の解任を求める動議が賛成多数で可決された、とのこと。マッカーシー議長が予算成立に際し民主党と協力したことを激しく反発したマット・ゲイツ議員が、マッカーシー議長の解任を求める動議を提出していたようです。

この裏で、X(旧ツイッター)でなんとも大人げないやりとりがあったようです。

マッカーシー元議長の“Bring it on!”(ブリンギット・オン)という投稿に対し、ゲイツ議員がすぐさま“Just did. ”(ジャスト・ディッド)と返したとか。

「かかってこいよ!」に対して「望むところだ」と返した形です。その書き込みの翌日にマッカーシー議長は解任されたそうです。

 

せっかくなので英語の解説をしましょう。

“Bring it on!”は直訳すると「持ってこい!」ですが、ここでは「かかってこいよ!」となります。bringは「~を持ってくる」ですが、bring onになると「~をもたらす」という意味になります。これは英語の試験にもけっこうよく出るので、覚えておくとよいでしょう。

それに対して“Just did.”は、直訳すると「今やった」ですが、意訳すると「望むところだ」あるいは「貴様は既に死んでいる」になります。justは「とにかく」と「たった今」のどちらの意味もあって、例えばナイキの企業コピーは“Just Do It.”(とにかくやれ)ですね。

 

議員同士の大人げない会話ですが、これを機にぜひ覚えておきましょう。声に出して「Bring it on!」「Just did.」と言ってみるのも効果的かと思いますが、人や友人の前で言ってしまったら、誤解のないよう「なんちゃって」と付け加えておきましょうね。

 

 

議員同士の生々しいやりとりは下院を舞台に行われていました。アメリカ議会のもう一つは上院です。日本の議会は衆議院と参議院ですが、アメリカ議会の上院と下院とどう違うのでしょう。

 

その前に上院や下院は英語でどう言うのでしょうか。

かつてアメリカ議会は2階建ての公会堂で行われていたとのこと。そのうち上院は2階を使用していたことからupper house(家の上の方)、下院は1階を使っていたからlower house(家の下の方)と呼ばれ始めた、とされています。

ただこれは通称で、少し正式にいえば、上院は Senate(セネイト)、下院は House of Representatives(ハウス・オブ・リプレゼンタティブ)略してthe House(ザ・ハウス)になります。

上院のSenateは古代ローマの Senatus(元老院)が語源で、より正式な名称ではUnited States Senate (合衆国元老院)となります。

下院のHouse of RepresentativesのRepresentativeの名詞には、代表者の意味だけでなく、代議士や国会議員という意味もあります。

 

では上院と下院はどう違うのでしょうか。

上院は州の人口に関係なく、各州から2名の上院議員を選出します。

それに対して下院は、人口の大きさによって各州に何名下院議員を選出できるか決まっています。下院は州の人口が多ければ多いほど議席数が多いということですね。最多のカリフォルニア州は53議席分であるのに対し、少ない州は1議席だけ(それが7州もある)という、けっこうな差になっています。

 

上院という名前から「上院の方が格上」かのように思ってしまいますが、上院と下院に優越はなく、権限が振り分けられているそうです。

日本では衆議院の方に優越した権利があるので異なりますね。

 

上院は各州から2名ずつ選ばれるので「州の代表」という位置付けです。役割は外交的な内容が多く、国際的にじっくり取り組むことが必要な案件を取り扱います。そのため任期も6年です。

下院は州の人口に比例しているので、地区・地元民の代表に近いです。なので聞き取った国民の意見を素早く連邦議会に持ち込んで問題解決に取り組めます。

 

選挙は上院も下院も2年ごとに行われています。大統領選とかぶらない時の選挙を中間選挙と呼ばれます。任期が6年の上院ですが、全上院議員の約1/3が2年ごとに改選されるという方法をとっています。

どちらも任期が終わっても、再当選すれば議員を何回でも続けることが可能です。日本の衆議院のように解散(任期満了前に議員でなくなること)はありません。

 

  アメリカ 日本
  上院 下院 参議院 衆議院
人数 100名 435名 245名 465名
任期 6年 2年 6年 4年
被選挙権 30歳以上 25歳以上 30歳以上 25歳以上

 

アメリカ議会の上院・下院がおよそわかったところで、改めて日本の参議院・衆議院の違いを確認しておきましょう。

 

アメリカの上院が日本の参議院に、アメリカの下院が日本の衆議院に似ていることは何となくわかると思います。上院や参議院は任期も長く6年なのでじっくり・慎重に・冷静な審議をするのに対し、下院や衆議院は任期も短く人数も多いのでより民意を反映したものになります。

アメリカと日本の議会の大きな違いは、衆議院の解散があるかどうか。日本は解散があるから衆議院に優越がある、ということになります。

 

それ以上に大きな、アメリカと日本の違いはやっぱり「大統領制」と「議院内閣制」の違いです。

「大統領制」とは、国民が大統領選挙によって大統領(国のトップ)を選出する政治制度のことです。

一方「議院内閣制」とは、国会議員が首相・内閣総理大臣(国のトップ)を指名する政治制度のことです。

 

「大統領制」は国民の民意が国のトップに反映されやすいけれど、大統領と議会の対立が生まれやすい、という一方、「議院内閣制」は最大与党が首相を選ぶので政治運営が安定しやすいけれど、国のトップに民意が反映されにくい、という特徴があります。

「大統領制」では基本的に任期満了まで大統領を罷免する方法がありませんが、「議院内閣制」には「議会の内閣不信任案」が可決されれば首相を辞めさせることができる、という違いもあります。

 

同じ国民主権・民主主義の政治制度でも、けっこう違うものですね。アメリカとの比較を参考にしつつ、日本の政治制度を頭に入れておきましょう。

 

【参考】

Wikipedia:アメリカ合衆国上院

アメリカの上院と下院の違いは?

衆議院と参議院の違いってなに?5つの違いを簡単に解説

 

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