テストの解き直しを一緒にしようとして、「素数って、結局なんだっけ?」「1って素数だった?」と、お子さんより先にご自身の手が止まってしまった——そんな経験はありませんか。ネットで調べてみても解説が専門的すぎて、目の前のお子さんに噛み砕いて伝えられず、もどかしい思いをされた保護者の方は少なくありません。
ひとことで言うと、素数は「覚えさせる」ものではなく、「親子で一緒に見つける」ものに変えると、家庭でもぐっと定着しやすくなります。大切なのは一覧の丸暗記ではなく、約数の考え方から「なぜそうなるのか」を順番にたどること。それさえ押さえれば、専門知識がなくてもお子さんに自信を持って教えられます。
この記事では、個別指導の現場で多くのつまずきに向き合ってきたWAM教育プランナーの視点から、次の5つのポイントを、読んだその日から実践できる形でまとめました。
- 小学生にも伝わる素数の説明と声かけ
- 親子でできる見つけ方
- 家庭で楽しく続く素数ゲーム
- つまずきパターン別のサポート法
- 「どこまで覚える?」の判断基準
覚えさせる素数から、親子で楽しむ素数へ。「教えられない」を「これなら大丈夫」に変えていきましょう。
Contents
素数とは?小学生に説明するなら「約数が2個だけの数」
素数とは、1とその数自身でしか割り切れない、2以上の整数のことです。お子さんに説明するときは、「約数がちょうど2個だけの数」と言い換えると、ぐっと伝わりやすくなります。
素数を理解する土台になるのが「約数」です。素数は約数の考え方の上に成り立っているため、まずここを一緒に思い出すところから始めましょう。
まず「約数」を思い出そう(素数の土台)
約数とは、ある数を割り切ることができる数のことです。たとえば6の約数は、1・2・3・6の4個。「6÷1」「6÷2」「6÷3」「6÷6」がすべて割り切れますね。一方、7の約数は1と7の2個だけです。
この「約数の個数」に注目すると、素数の正体が見えてきます。
- 約数がちょうど2個(1と自分自身)の数 → 素数(例:2, 3, 5, 7, 11)
- 約数が3個以上ある数 → 素数ではない数(合成数)(例:4は1・2・4の3個、6は4個)
つまり素数は、「1と自分のほかには、どんな数でも割れない、ちょっと頑固な数」。お子さんには「自分と1だけしか仲間がいない、ひとりっ子な数」とイメージで伝えると、表情がやわらぐことが多いです。

「1はなぜ素数じゃないの?」をお子さんに説明する言い換え
保護者の方から最も多くいただく質問のひとつが「1は素数じゃない、ってどう説明すればいいですか?」です。
ポイントは、先ほどの「約数が2個」の定義に立ち返ること。1の約数は、1の1個しかありません。「1と自分自身」を数えようとしても、どちらも同じ1なので、2個にはならないのです。素数の条件は「約数がちょうど2個」。1は1個なので、その仲間には入れない——こう順を追って見せると、「暗記」ではなく「納得」になります。
お子さんへの声かけ例としては、「素数って約数が2個必要なんだけど、1は自分しかいないから1個だけなんだ。だから素数のグループには入れてもらえないんだよ」と、定義に戻して話すのがおすすめです。
「2だけ偶数なのに素数」なのはなぜ?
もう1つお子さんがつまずきやすいのが、「偶数なのに素数」の2です。「偶数(2で割れる数)は素数じゃない」と思い込んでしまうお子さんは珍しくありません。
ここでも定義に戻ります。2の約数は1と2のちょうど2個。だから2は立派な素数です。そして2は、偶数の中で唯一の素数でもあります。4・6・8……ほかの偶数はすべて2でも割れてしまうため約数が3個以上になり、素数にはなれません。「偶数の中で素数なのは2だけ。だから2は特別なんだよ」と伝えると、お子さんの印象に残りやすくなります。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
「約数」と「素数」を混同したまま進めないでください。素数を教える前に、約数を一緒に書き出す時間を必ず取りましょう。
なぜなら、この点は多くのご家庭で見落とされがちで、約数があいまいなまま素数の暗記に入ると、子どもは「なぜそうなるか」が分からず、結局すぐ忘れてしまうからです。指導現場でも、約数の復習に戻すだけで素数の理解が一気に進むケースを何度も見てきました。この知見が、おうち学習の助けになれば幸いです。
素数は小学何年生で習う?中学・中学受験への見通し
「素数って、そもそも小学校で習うものなの?」という疑問もよくいただきます。学習の見通しが分かると、「今どこまでやればいいか」の不安が和らぎますので、学年ごとに整理しておきましょう。
小5「倍数と約数」が素数の入り口
文部科学省の学習指導要領では、倍数・約数は小学5年生で学びます。素数そのものは、この「倍数と約数」の単元と地続きの考え方です。お子さんが素数で手が止まっているなら、その前の約数・倍数があいまいになっているサインのことも多いので、まずはここを点検してあげてください。
「素数」を正式に習うのは中1(素因数分解)
「素数」という用語と、それを使った素因数分解は、学習指導要領上は中学1年生で正式に学びます。すべての整数は素数のかけ算で表せる——という考え方で、これが後の最大公約数・最小公倍数や、中3で習う平方根の土台になっていきます。
つまり、小学校の学習だけを考えるなら、素数を細かく暗記する必要は本来ありません。お子さんが学校のテストで素数の問題を解くのであれば、まずは「素数とは何か」を約数から理解できていれば十分です。
中学受験では小学生でも素数を使う
一方で、中学受験を考えている場合は、小学生のうちから素数を実践的に使いこなす力が求められます。受験算数では、最大公約数・最小公倍数を素早く求めたり、約数の個数を数えたりする場面で素数(素因数分解の考え方)が頻繁に登場するためです。「約数→素数→素因数分解→公約数・公倍数」という流れが、受験算数の計算の背骨になっていると考えてください。
| 学年・目的 | 素数まわりで扱う内容 | 家庭での目安 |
|---|---|---|
| 小5(学校) | 倍数・約数の理解 | 約数を正しく書き出せる |
| 小5〜小6(中学受験) | 素数の見分け方・素因数分解・公約数/公倍数 | 100までの素数を見つけ、使える |
| 中1(学校) | 素数・素因数分解を正式に学習 | 定義と素因数分解の手順を理解できる |
※学年表記は文部科学省「学習指導要領」に基づく一般的な目安です。教科書や塾の進度により前後する場合があります。
素数の見分け方・求め方|親子でエラトステネスのふるい
ある数が素数かどうかは、小さい素数から順に割れるかどうかを試すことで見分けられます。やみくもに割るのではなく、コツを押さえれば小学生でも手早く判断できます。ここは「教える」より「一緒に手を動かす」のが効果的な場面です。
2・3・5・7で割れるかチェック(候補をしぼる)
まずは身近な素数の倍数判定を使って、素数ではない数をふるい落とします。
- 2で割れる:一の位が0・2・4・6・8(偶数)
- 3で割れる:各位の数字をたした合計が3で割り切れる(例:51→5+1=6、6は3で割れるので51も3で割れる=素数ではない)
- 5で割れる:一の位が0か5
- 7で割れるか:特別な見分け方はないので、実際に7で割ってみる
「2・3・5のどれでも割れなかったら、100までの数なら絶対に素数だ」と確信を持って判断できます。
たとえば91は、偶数でなく、9+1=10で3でも割れず、5でも割れないため、一見すると素数に見えます。ところが「2・3・5の次は7でも試してみよう」と一歩進めて91÷7を計算すると、13となりぴったり割り切れます。つまり91は素数ではないと分かります。
100までの数なら「2・3・5・7」の4つで割れるか確かめる習慣をつけるだけで、見落としが減ります。
エラトステネスのふるいで100までの素数を見つける
100までの素数をまとめて見つけたいときに役立つのが、古代ギリシャの数学者エラトステネスが考えた「エラトステネスのふるい」です。倍数を順に消していくと、最後に素数だけが残る——という方法で、親子で手を動かすのにぴったりです。
- 1〜100の数を10×10のマスに書く(または市販・印刷の数表を使う)
- 1を消す(素数ではないので)
- 2を丸で囲み、2以外の2の倍数(4, 6, 8…)をすべて消す
- 残った中で最小の3を丸で囲み、3以外の3の倍数(6, 9, 12…)を消す
- 同じように5の倍数、7の倍数を消す
- 最後に丸が残った数が、すべて素数
「倍数を消す」作業はゲーム感覚で取り組みやすく、消していくうちに素数が「残っていく」様子を目で見られるのが、この方法の良いところです。手を動かして自分で見つけた素数は、ただ眺めた一覧よりずっと記憶に残ります。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
子どもが手を止めても、すぐに答えを言わないであげてください。「これ、2で割れるかな?」と問い返すだけにとどめましょう。
なぜなら、親が先に正解を言ってしまうと、子どもは”考える手順”を覚える機会を失ってしまうからです。個別指導でも、講師はあえて「次はどの数で試す?」と問いかけ、子ども自身に判断させることを大切にしています。少し待つだけで、お子さんの「自分で見つけられた」という自信が育ちます。
「どこまで覚える?」学年・受験別の判断基準と覚え方
「素数って、いったいどこまで覚えればいいんですか?」——これも本当によくいただく質問です。やりすぎても負担になり、足りなければ不安。判断基準を、学年と中学受験の有無で整理しておきましょう。
| お子さんの状況 | 覚える目安 | 重視したいこと |
|---|---|---|
| 小学校の学習が中心(受験なし) | 無理に暗記しなくてOK。20〜30までを「見つけられる」と安心 | 定義の理解と見分け方 |
| 中学受験を予定 | 100までの素数を見つけられ、使えると有利 | エラトステネスのふるい・素因数分解の活用 |
| 中学生(学校の数学) | 定義と素因数分解の手順を理解。一覧暗記は必須ではない | 計算で使いこなせること |
ポイントは、「暗記」より先に「見つけられる」を目指すことです。語呂合わせ(たとえば「兄さん、5時にセブンイレブン(2・3・5・7・11)」のような覚え方)は補助としては便利ですが、語呂だけに頼ると、忘れたときに自力で取り戻せません。見分け方とふるいで「自分で出せる」状態になっていれば、覚えていなくても困りません。中学受験で素早さが必要な場合に、結果として自然と覚えていく——という順番が理想的です。
家庭で楽しく続く素数ゲーム3選
知識は「楽しく繰り返す」ことで定着します。ドリルを嫌がるお子さんでも、遊びの形なら続けやすいものです。お風呂や車の中など、すきま時間でできる素数ゲームを3つご紹介します。
①素数言い合いリレー
親子で交互に素数を小さい順に言っていくゲームです。「2」「3」「5」「7」「11」……と続け、詰まったら負け。最初は20まで、慣れたら50まで、と範囲を広げていきます。お風呂で「上がるまでに何個言えるかな」と挑戦するのもおすすめ。間違えても責めず、「次はどれだっけ?」と一緒に考えるのがコツです。
②数当てクイズ「これ素数?」
親が数を1つ言い、子が「素数か、そうでないか」を答えるクイズです。「51は?」「91は?」など、一見素数に見える”ひっかけ”を混ぜると盛り上がります。お子さんが「3で割れるから違う!」と理由まで言えたら大成功。見分け方の練習が自然にできます。慣れてきたら役割を交代し、子が親に出題する側に回ると、理解がさらに深まります。
③100マスでふるい工作
休日には、10×10のマス目を一緒に書いて、エラトステネスのふるいに挑戦してみましょう。色ペンで2の倍数・3の倍数を塗り分けると、模様のように見えて楽しく取り組めます。完成した「自分だけの素数表」を冷蔵庫に貼っておけば、見るたびに復習にもなります。手を動かす作業は、低学年のお子さんにも向いています。
素数でつまずく5パターンと親のサポート法
個別指導の現場で多くのお子さんを見ていると、素数のつまずきにはいくつかの「型」があります。原因が分かれば、ご家庭でも的確に支えてあげられます。代表的な5パターンと、親ができるサポートを整理しました。
| つまずきパターン | よくあるサイン | 親のサポート法 |
|---|---|---|
| ①約数・倍数と混同する | 「素数」と「約数」がごっちゃになる | 約数を書き出す復習に戻る。「約数が2個か数えてみよう」 |
| ②1を素数だと思う | 1を素数に入れてしまう | 「1の約数は1個だけ。2個ないから素数じゃないね」と定義に戻す |
| ③2を素数でないと思う | 偶数=素数でないと思い込む | 「2の約数は1と2で2個。偶数で素数なのは2だけ」と確認 |
| ④暗記に頼って判定できない | 覚えた範囲を超えると答えられない | 見分け方(2・3・5・7で割る)を一緒に実演する |
| ⑤一見素数に見える数で手が止まる | 91などで「素数?」と固まる | 「2・3・5の次は、7でも割ってみようね」と促す |
大切なのは、間違いを責めず、つまずいた一歩手前に戻ることです。素数でつまずいているように見えて、実は約数の理解が足りていない、というケースはとても多くあります。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
「なんで分からないの」という言葉は、ぐっと飲み込んであげてください。代わりに「どこまでは分かった?」と聞いてみましょう。
なぜなら、できない部分ではなく”できている部分”から確認すると、子どもは安心して再挑戦でき、算数嫌いを防げるからです。私たちが指導で重ねてきた経験でも、つまずきの本当の原因は前の単元にあることがほとんどです。お子さんを責めずに一歩戻る——これが遠回りに見えて、いちばんの近道です。
保護者向け1〜100の素数一覧表
1から100までの素数は、全部で25個あります。エラトステネスのふるいで見つけた答え合わせや、家庭学習の確認用にお使いください。
| 範囲 | 素数 | 個数 |
|---|---|---|
| 1〜10 | 2, 3, 5, 7 | 4個 |
| 11〜20 | 11, 13, 17, 19 | 4個 |
| 21〜30 | 23, 29 | 2個 |
| 31〜40 | 31, 37 | 2個 |
| 41〜50 | 41, 43, 47 | 3個 |
| 51〜60 | 53, 59 | 2個 |
| 61〜70 | 61, 67 | 2個 |
| 71〜80 | 71, 73, 79 | 3個 |
| 81〜90 | 83, 89 | 2個 |
| 91〜100 | 97 | 1個 |
数が大きくなるほど素数がまばらになっていくのも、一覧で見ると分かります。「90台には97だけしかないんだね」といった気づきも、お子さんとの会話のきっかけになります。
まとめ:覚えさせる素数から、親子で楽しむ素数へ
素数は、一覧を丸暗記する単元ではありません。約数の考え方から「なぜそうなるか」をたどり、見分け方を覚え、手を動かして見つける——この順番をたどれば、専門知識がなくてもお子さんに教えられます。
- 素数は「約数が2個だけの数」と捉える(1は1個なのでバツ、2は唯一の偶数の素数)
- 用語は中1で習うが、小5の「倍数・約数」がすべての土台になると知る
- 「暗記」より「見分け方」を先に身につけ、覚える範囲は状況に合わせて調整する
- 家庭ではゲームで楽しく反復し、つまずいたら一歩手前の「約数」に戻る
それでも、「家庭だけでは続かない」「どこでつまずいているのか見極めきれない」と感じることもあると思います。お子さんのつまずき方は一人ひとり違うため、原因を正確に見つけて、その子に合った手順で解きほぐすことが、つまずき解消の近道です。
個別指導塾WAMでは、一人ひとりのつまずきの原因を丁寧に診断し、その子のペースに合わせた指導を行っています。「算数が嫌いになる前に、今のうちに手を打ちたい」とお考えの保護者の方は、まずは無料体験授業で、お子さんに合った学び方を体感してみてください。指導の進め方や料金について詳しく知りたい方は、資料請求もご利用いただけます。一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。
参考文献
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」 https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387017_004.pdf
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」 https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387018_004.pdf
- 国立教育政策研究所 教育課程研究センター「指導資料・事例集」https://www.nier.go.jp/kaihatsu/shidousiryou.html
