こんにちは、個別指導Wam藤の木校です。
中学1年で習う英単語take。あるいは小学校で既に何となく覚えた、という人もいるでしょう。でもtakeは高校入試ではもちろん大学入試でも、英文に頻出する上にいろいろな意味があるため、とても厄介な単語なのです。簡単だからこそ、日本語にするのが難しい単語と言えます。
今回はこのtakeの意味を探ってみましょう。
このtakeの意味、日本語で何通りあると思いますか。
一説には実に343通りもあると言われています。それを全部把握するなんて不可能ですよね。だから「だいたいこんな感じ」と、およその意味を察するとよいかと思います。
takeの意味は、ばっくり分けて二種類と考えるとよいでしょう。一つは「持っていく」とその派生した意味。もう一つは「~がかかる・要する」という意味です。他にもありますが、よく目にする/耳にするのはこの二つです。
「いや、その二種類がどちらかもわからないんだ」という人もいるでしょうが、そこは安心してください。何となくの見分け方があります。
「~がかかる・要する」の意味はおよそit takes~の形であることが多く、それ以外は「持っていく」の派生、と考えればよいかと思います。
先に、it takes~の形の「~がかかる・要する」を押さえておきましょう。このtakeの意味は「時間がかかる・労力がかかる(要する)」というときに使います。
・How long does it takes to walk to the station. 駅まで歩いて何分くらいかかりますか。
・It only take about five minutes. 五分くらいしかかかりません。
・立ち上がって話すことには勇気がいった。It took courage to stand up and speak.
ここでは「勇気がかかる/要する」という形で、日本語と感覚が違いますね。
では問題の「持っていく」のtakeとその派生。
これは「物理的に何かを持っていく」というイメージが基本なので、そこから「とる」「連れていく」「もつ・所有する」という意味になります。takeに多くの意味があるというより、日本語が細かく分けているといった方がよいかもしれません。
「とる」という意味では。
小さな子どもが「お兄ちゃんが私のクマちゃんとったー」というとき He took my teddy bear. となります。他に、
・写真を撮ってくれますか。Please take a picture.
・この会議ではメモを取らないと。I must take notes at this meeting.
・休みはしっかりとってね。Make sure to take a rest.
「休み」のように、物理的でないものを「とる」のもtakeです。
日本語の「とる」は 取る/採る/撮る/獲る などいろいろありますが、概ねtakeで通じる気がします。
「連れていく」という意味では、ジブリ映画「耳をすませば」で流れていた「カントリーロード」の英語の歌詞がそのものズバリでしょう。
・Country road, take me home. カントリーロード、僕を故郷に連れていってくれ。
また、「何でも好きなものをもっていって(=連れていって)いいよ」というとき Take anything you want. といいますが、日本語に訳すと「受け取る」に近いかもしれません。
似た感じで、直訳で「アドバイスを連れていく」は、「アドバイスを受け取る」になります。
・Take my advice. 俺の言うことを聞いてくれ(=俺のアドバイスを受け取ってくれ)。
・I took my doctor’s advice. 医師の指示に従った。
「もつ」という意味では、「スーツケースを持っていきます。」というとき I will take my suitcase. のように使いますが、さらに他の語とくっつくことで、新しい意味が生まれます。
care(ケア)と合わせた take care は「ケアをもつ」転じて「気遣う」になります。
part(一部の)と合わせた take part は「一部をもつ(担う)」転じて「参加する」という意味になります。
surprise(驚き)と合わせた take by surprise は「驚きをもつ」転じて「不意をつく」という意味になります。
responsibility(責任)と合わせた take responsibility は「責任をもつ」ですが、「責任をとる」と同じ意味になります。
・Take care yourself. ご自愛ください。
・I take part in this match. この試合に参加します。
・We were completely taken by surprise. 我々は完全に不意を突かれてしまった。
・He should take responsibility. 彼は責任をとるべきだ。
「持っていく」のtakeの、他の意味もみておきましょう。
「使う」という意味では、「よかったらこの席どうぞ。」というとき Please take this seat. になります。
・この席いいですか。Is this seat taken?
電車や飛行機など、移動手段で使うときもtakeを使います。
・I will take a taxi to the station. 駅までタクシーに乗ります(使います)
意外なことに、take a shower/take a bathのように、シャワーを浴びる/風呂に入るもtakeを使います。
「脱ぐ(外す)」という意味もあるから驚きです。takeの基本の意味は「もっていく」なのに、「脱ぐ」もあるなんて矛盾しているじゃないか、と思うかもしれません。だけど、日本語でも「(ペンを)奪う」も「(帽子を)外す」も、両方「とる」を使っているのに誤解が生じることはまずないので、英語でも問題ないのでしょう。
・彼は泳ぐために服を脱いだ。He took off his clothes for swimming.
ここまでいろいろなtakeの柔軟な意味に触れてきましたが、他にもこんな意味もあります。
「実行する」
・The meeting will take place next week. 会合は来週行われます。
ここでの take place は、「場所を取る」ではなく、イベントや計画が実行される/行われる という意味です。
「抗議する」
・Israels take to the streets a day after Gaza strikes. イスラエル国民はガザ攻撃の次の日に抗議行動をした
ここでの take to the streets は、「通りに出る」だけではなくて、「集団で抗議をするために街頭に出る」という、protestと近い意味になります。
最初に書いたように、takeの意味は343通りもあるらしいので、他にもあるでしょう。でも入試で出てくるおおよその意味は押さえられたのではと思いますし、もし見たこともない意味が出てきても、基本的な意味から推測することに慣れましょう。
【参考】
・TBS Podcast Session 塚本ニキ Weekly English Journal「343通りもある“take”」
・TBS Podcast Session 塚本ニキ Weekly English Journal「Take」から学ぶ