
こんにちは、個別指導Wam藤の木校です。
“うるう年”をご存知ですか。そう、四年に一回訪れる、2月29日がある年のことです。ちょうど四年に一回開催されるオリンピックの年にあたるので「オリンピック・イヤー」と呼ばれることもありますよね。
では“うるう年”とは何のためにあるのか知ってますか。「よくわからないけど時間のつじつま合わせのためなんでしょ?」という方、正解です。
では“うるう秒”はご存知ですか。あまり聞いたことがないかもしれません。 “うるう秒”は“うるう年”と同じく、時間のつじつま合わせのために行う“秒”のことです。
その“うるう秒”って何でしょうか。今回は“うるう秒”のお話です。
まず“うるう年”についてみてみましょう。うるう年はうるう日(日が一日多いからうるう日)ともいいます。地球が太陽の周りをまわる公転周期は365.242 189 …日、およそ365日より0.25日(=4分の1日)長いことから、ほぼ4年に1回、1日を長くする(366日にする)年になります。
では“うるう秒”は? うるう年が地球の公転のつじつま合わせなのに対し、地球の自転のつじつま合わせをしているのがうるう秒です。
ちなみに、うるう年とうるう秒、全く関係のない現象であるのに、同じ名前(日本語では「閏(うるう)」、英語では “leap” )を使っているのは、「暦の調節」という類似性からに過ぎないそうです。
さて、そもそも「秒」はどうやって決まっているのでしょうか。1分は60秒、1時間は60分×60秒=3,600秒ですから、1日は24時間で3,600秒/時間×24時間=86,400秒となります。そのため近年までは「1秒は1日の長さの86,400分の1」と定義されてきました。
そう、「地球が一回転するのが一定(=自転速度が一定)」としていたときはそれでよかったのです。ところが、厳密に時間を測ることができるようになってくると、自転速度が微妙に変動することがわかってきました。そのため、これはいかんと、1秒の定義を高精度な原子時計によるものに変更することになりました。
やれやれ問題解決と、短期的にはそれでよかったのですが、長期的には少しずつ1秒の長さと1日の長さ(の86,400分の1)(=原子時計による長さと自転速度の速さ)とにずれが生じてきました。そこで、大きくずれないように調整するのがうるう秒なのです。
もう少し正確にいえば、時間差が0.9秒を超えそうになったとき、1秒の長さを1秒分調整するのがうるう秒です。
では、うるう秒はいつ調整されているのでしょうか。
実は2017年を最後に、最近はうるう秒の挿入は行われていません。でもその前、2010年前後は3年に1回程度、1970年代は毎年のようにうるう秒が挿入されていました。つまり2017年以降は単に、うるう秒を調整する必要がなかった(1秒の長さと1日の長さとの時間差が0.9秒を超えなかった)からなのですが、ここ40年間に限れば、1秒の長さと1日の長さの時間差は短くなっているということになります。
時間差が少しずつ短くなっているということは、1日の長さは短くなっている(自転の速さが速くなっている)ってことなのでしょうか? はい、ここ40年間に限るとその通りなのです、が、もっと長く、100年間の間隔で考えると、およそ約1.4ミリ秒/日だけ、逆に長くなっているそうです。
ここ40年間は、長期的な傾向とは別の、もっと大きな、しかも不規則な変動によるものとされています。具体的には、地震による地球内部の質量の分布変化や、マントルと外核の相互作用、氷床の消長、地球内部の核、風、海水などによる影響・・・などが考えられていますが、いずれも定量的にはわかっていません。でも、そんなことで地球の自転速度が変わるんですね。
そのうるう秒、2035年までに実質的に廃止される見込みだそうです。
といっても、「最近うるう秒は挿入されていないから、このまま止めてしまおう!」・・・というわけではありません。また「うるう秒はもうやめました」というわけでもなくて、1秒の長さと1日の長さ(の86,400分の1)との時間差が0.9秒より長くなったとき(変更前は0.9秒を超えそうになったとき)に、うるう秒を挿入するようにしよう、ということが国際組織の会議「国際度量衡総会」で決まったのだそうです(2022年11月)。まあ、「長くなったときに挿入する」ことが決まっただけで、どれだけ長くなったときに挿入するかは未定だそうですが、それはともかく、当面の間はうるう秒を調整することがなくなった、とはいえるでしょう。
これにはIT業界からは歓迎の声が上がります。というのも、うるう秒が行われた最も近い2017年にも、事前に予見されていたにも関わらず、多くのシステム障害が発生したからです。
でも、もしうるう秒を廃止するとどうなるのでしょうか。原子時計の時刻と天文時が同期されなくなるので、大げさにいうと時刻と昼夜の関係が崩れていき、正午なのに真夜中、といった昼夜逆転の可能性すらありえます。
今はたまたま、うるう秒がほとんどなくてよい時期のようですが、さっき書きましたように、100年間で約1.4ミリ秒/日長くなっているので、長期的にはうるう秒の挿入頻度は徐々に増加し、21世紀中には毎年1回ずつが当たり前になり、22世紀には年2回のうるう秒も一般的になって、西暦3000年頃には年12回ものうるう秒が必要になるそうです。
「いやいや、その頃には人類は地球から離れて宇宙が中心の時代になってるから、地球の自転速度は時間設定と関係なくなっているんだ!」・・・なるほど、そうかもしれません。いずれにしても、やはり今の私たちは、地球というアナログの世界に生きていることを実感させられますね。
なお、日本語の「閏」は「余分の」という意味ですが、英語の “leap” は、平年では1年に1日ずつずれる月日と曜日の対応が、うるう年には2日ずれる(飛ぶ)ということに由来するそうです。
ドラマや映画などで「タイムリープ」という言葉を聞いたことがあるでしょう。アニメ「時をかける少女」で有名になりましたが、その「リープ」とは「飛ぶ・飛躍する」という意味です。ちなみに、うるう秒=リープ・セカンドleap secondは、直訳すると「秒の飛躍」となります。意味が違うような、合っているような・・・?
うるう秒とうるう年(うるう日)、難しかったと思いますが、何となくわかってもらえたでしょうか・・・では「うるう月」はご存じですか? これはまた、別の機会に・・・
【参考】