
こんにちは、個別指導Wam藤の木校です。
ゴールデンウィーク、どこかに行かれましたか。海、山、川・・・遊び疲れて、久しぶりの学校が退屈に思っているかもしれません。
川や山にはそこここに岩石がありますね。中学1年の理科で習う岩石。でも、その分野を終えても、あまり岩石を見分けられるようにはなっていないのではないでしょうか。
それもそのはず、中学の授業、特に教科書は、火山や地震などの地球のメカニズムを押さえることに主眼が置かれていて、岩石の見分け方は二の次のようです。でもせっかく習ったのなら、おおよそくらいは見分けられたいですよね。
今回は中学の範囲を超えて、岩石のおよその分類をみてみましょう。
岩石名にはカタカナもあったり、ひらがなが混じっていたり、漢字で書こうとするとやたら難しかったり、どうもとっつきにくいし馴染みにくいですが、頑張っていきましょう。花の分類よりは見分けやすいはず?
岩石には大きく三種類あります。火成岩/堆積岩/変成岩です。うち変成岩は中学では習いませんよね。しかも火成岩と堆積岩は、中学でも少し異なる単元で学習します。なんだかな。
・火成岩はマグマが固まってできる岩石です。
・堆積岩はふりつもったものが固まってできる岩石です。
・変成岩は強い熱や圧力を受けてできる岩石です。
とはいえ、これらの分類はあくまで人為的なもので、明確な境界はなくあいまいなのですが、そのあたりはまあ、何となくで問題ありません。地学はえてして大雑把でいいんです(ホント?)。
それぞれみていきましょう。まずは火成岩。
マグマが固まってできた火成岩は、火山岩と深成岩に分けられます。「火」山岩と深「成」岩で「火成」岩です。火山岩と深成岩の違いはマグマの冷え方の違いですが、もちろん中間のものもあり、境界もだいたいです。
火山岩も深成岩も白っぽいか黒っぽいかで分別されます。もう少し詳しくいえば、もとのマグマの組成の中にカリウムやナトリウムが多かった(その結果白っぽい)か、あるいは逆に鉄やマグネシウムが多かった(その結果黒っぽい)かで分けられます。
深成岩は白っぽい順に、花こう岩/せん緑岩/斑れい岩に分けられます。火山岩も同様に、流紋岩/安山岩/玄武岩に分けられます。
難しい名前が多く、初めから諦めたくなりますが、日本ではおおむね、深成岩なら花こう岩、火山岩なら安山岩と思っておけばよいです。それに火成岩からは化石は出ません。
覚え方は「新幹線はカリアゲ」。
「新」→深成岩 「か(ん)」→ 花こう岩 「線」→ せん緑岩 「は」→ 斑れい岩
「カ」→火山岩 「リ」→ 流紋岩 「ア」→ 安山岩 「ゲ」→ 玄武岩
ちなみに高校レベルになると、深成岩には、斑れい岩よりもっと黒い(鉄やマグネシウムが多い)岩石としてかんらん(橄欖)岩が加わり、火山岩には、安山岩と玄武岩の中間あたりに位置する岩石としてデーサイトも習います。多いといえばそうですが、まあその程度。
次に堆積岩。
堆積岩は堆積物の種類によって砕屑(さいせつ)岩/生物岩/化学岩に分けられます。
砕屑岩には、風化・浸食によるものと火山の噴出によるものがあります。風化・浸食によるものは(粒子の大きい順に)れき岩/砂岩/泥岩、火山の噴出によるものは凝灰(ぎょうかい)岩や岩滓(がんさい)(=軽石、スコリア)です。
うち泥岩は、高い圧力をかかって長い年月が経つと、粘土鉱物が整列して細かい層状になり、簡単に薄い層に分裂するようになります。このような岩石を頁岩(けつがん、またはシェール)といいます。
凝灰岩も粒子の大きさでさらに、(粒子の大きい順に)凝灰角れき岩/火山れき凝灰岩/凝灰岩と分けられます。また火山灰が高温のまま堆積し、自分の重さで押しつぶされ互いに溶けてくっつきあってできたのは、溶結凝灰岩と呼ばれます。
生物岩は、主に生物の遺骸が堆積したもので、フズリナやサンゴが堆積したものが石灰岩、放散虫が堆積したものがチャート、ケイソウが堆積したものがケイソウ土、植物が堆積したものが石炭です。
化学岩は、海水などに溶けている成分が晶出したり、他の元素と化合したりして沈殿した岩石です。塩化ナトリウム(NaCl)が沈殿したものが岩塩、酸化鉄(FeO、FeO2)などが沈殿したものが鉄鉱です。
なお石灰岩の生成過程は二種類あり、石灰質の成分をもつフズリナやサンゴなどの生物の遺骸が海底に堆積する場合と、海水中の炭酸カルシウム(CaCO3)が析出して沈殿する場合があります。後者は化学岩に分類されますが、どちらも炭酸カルシウム(CaCO3)を主成分とする岩石なので特には区別されません。
チャートも同様で、放散虫は二酸化ケイ素(SiO2、石英)を成分にもつ殻をもち、堆積すると水溶液中の二酸化ケイ素が沈殿したのと同じになるので、化学岩の一部でもあります。
このように、地学は大雑把でいいんです。
最後に変成岩。
既存の岩石が熱や圧力などによって鉱物が再結晶し、鉱物の組み合わせや鉱物組織が違うものになってしまうことを変成作用といい、そういった変成作用を受けた岩石が変成岩です。
変成岩には接触変成岩と広域変成岩があります。接触変成岩は、マグマが貫入して周りの岩石がマグマの熱によって変成作用を受けた岩石です。広域変成岩は、造山運動によって、地下で変成作用を受けた岩石です。
接触変成岩にはホルンフェルスと結晶質石灰岩があります。ホルンフェルスは泥岩や砂岩が接触変成を受けたもの、結晶質石灰岩は石灰岩が接触変成を受けたものです。
広域変成岩には結晶片岩/千枚岩/片麻岩/蛇紋岩があります。結晶片岩は、鉱物が再結晶されて薄く板状にはがれるようになった岩石です。その中でも千枚岩は、泥岩や頁岩が熱と圧力を受けて剥離性を持つようになった岩石です。片麻岩は、有色鉱物と無色鉱物が交互に縞状になった岩石です。蛇紋岩は、かんらん岩が熱と圧力を受けた岩石です。
以上をまとめると、
火成岩 | 深成岩 | 花崗岩/閃緑岩/斑糲(はんれい)岩/橄欖(かんらん)岩 |
火山岩 | 流紋岩/デーサイト/安山岩/玄武岩 | |
堆積岩 | 砕屑(さいせつ)岩 | 礫(れき)岩/砂岩/泥岩/頁岩(けつがん、シェール) |
火山砕屑岩 | 凝灰角礫(れき)岩/火山礫(れき)凝灰岩/凝灰岩/溶結凝灰岩/軽石/スコリア | |
生物岩 | 石灰岩/チャート/ケイソウ土/石炭 | |
化学岩 | 岩塩/鉄鉱(/石灰岩/チャート) | |
変成岩 | 接触変成岩 | ホルンフェルス/結晶質石灰岩 |
広域変成岩 | 結晶片岩/千枚岩/片麻岩/蛇紋岩 |
となります。
以上、岩石を計30種類に分け、およその見分け方を見てきました。
ややこしいですが、でもこの30種類を知っていれば、自然にある岩石の95%くらいは分かるんじゃないかなと思います。
ぜひ、庭や付近の河川敷で気になる岩石の名前を当ててみて、わかった気になって(笑)、岩石、ひいては地学に興味を持ってもらえるとうれしいです。
<参考>
岩石の分類|地質を学ぶ、地球を知る|産総研 地質調査総合センター / Geological Survey of Japan, AIST
「ひとりで学べる地学 第4版」清水書院
ほか