教室ブログ

2024.01.06

入試全教科偏差値30台の中三生を残り一カ月強で志望校に合格させた「もうひとつ別のやり方」

長男長女が大学受験生で弟妹が高校受験生という組合せは時々ある。もう十五年以上も前の話だが、ちょうどその年の冬期講習もあと一日か二日で終わりというまさにその頃、高三生から相談を受けた。彼は前年三月頃からの生徒で、私の授業の受講生であった。相談内容だが、彼の弟は中三生→高校受験生で埼玉県内の某工業高校が第一志望なのだが、とにかく成績が悪い。通知表は1と2だらけだし、北辰模試←愛知県でいう愛知県模試でも主要五教科はすべて偏差値30台。しかも英社国は30台前半ということであった。塾は集団に行ったが、ついていけずにやめてしまって、そのままどこにも行っていない。私立は受けない。このままでは入学可能偏差値が県内最低に近い工業高校さえ危うい!何とかなりませんか・・・、ということだった。その生徒からは実は前年の二学期開始直後にも別の『相談』を受けたことがあった。「彼女にふられちゃったんです。・・・・彼女より自分の方が(学校の試験や模試などの)成績が低いことが原因です」と他に生徒の誰もいない教室で言われて「だったら勉強すればいいじゃん。たいへん分かりやすい彼女だね♡」みたいなことを言った覚えがあった。しかし今回は本当、かつ兄としてはある程度深刻な相談であった。私は彼に「時間をとって会うから、成績の出ている最直近の北辰模試の成績表を持参して連れてくるように。弟のことは極力気にせず自分の勉強に集中するように」と伝えた。

意外なことにというと失礼かもしれないが、彼の弟は外見的にはごく普通の中学生であった。模試の成績は兄の言う通り。その兄は離席してもらい二人だけで話したのだが、勉強は大嫌いだし、家庭も実はそれほど裕福ではなくむしろ苦しい方なので、大学へ行く兄と違って弟である自分は卒業後就職でもかまわない。その方が母親は喜ぶかも。でも最終学歴が中卒だと色々と厳しいこともあると聞く。なので工業高校ぐらいは出ておきたいというものだったが、理科は覚えてないが、数学は偏差値30台後半で五科目で一番良かった。参考書・問題集は持ってるか訊くと自分の物はないが、兄が高校受験の際に使っていた物は自宅にあるという。兄を呼んで確認すると五教科のまとめ的な要点集とそのチェック問題ということであった。私は弟に行かなくても卒業できるから中学校にはもう行かなくていいこと、数学の計算問題をこれから入試終了まで毎日、1回30分を朝昼と2回計1時間やること、数学を除く四教科の要点集を毎日1回必ず読むこと、分からない理解できない部分は飛ばすか、さっぱり理解できなくてもとにかくそうなんだと繰り返し読み進めること、できれば社会は2回以上読んでほしいが、その際は地理→歴史→公民と3日で1サイクルとし、新品の埼玉県の公立高校入試過去問題集を書店で買うなり可能な限り早く入手して自分の所に持ってくるようにと指示した。

 

しかし、である。ここまでなら私以外の者も多少の違いはあるにせよ、おそらく同じようにするであろう。明確に違うのはここからである。果たして弟は新品の埼玉県の公立高校入試過去問題集を私に持ってきた。一月の初旬ではあったが、私は弟に「これは自分が預かる。遅くとも今月末までに連絡するが、その時は何はさておき絶対最優先で来るように。連絡があるまでは指示したことを日々繰り返すように」と伝えた。途中でセンター試験があったものの、実際はそれから十日もしないうちに兄を通じて弟を呼びだしたのであるが、さて、高校受験生の弟が買ってきた新品の埼玉県の公立高校入試過去問題集を預かってその間に私はいったい何をしていたのだろうか?まず数学を除く四教科の全記述問題を除いた問題⇒記号選択のみの問題の配点を合計し、それを弟の志望校である工業高校の合格最低点から引いた。例えば合格最低点が五教科合計170点、四教科の記号選択のみの問題の配点の合計が140点ならその差は30点ということになる。あくまでも例えだが。まずそれを過去5年分やり、データとして残した。次いで何をやったか。記号選択問題の出題形式をこちらは全教科調べ上げこれもデータ化して残したが、過去5年間にわたって毎年同じか、変化があっても表面的で実質たいした変化のない問題のみをピックアップした。(その筆頭は英語のリスニング問題であった)

その次にやったことであるが、さあ、ここからが賛否両論分かれるところだろう。出題形式がまったく同じ、あるいは実質的な変化がたいしてない問題に対して、過去5年分の解答を予測データとして、その年の埼玉県公立入試の「解答そのものの予測」を行ったのである。昨年クリスマス前12月23日に入試問題「ズバリ的中!!」のカラクリのタイトルでブログを載せてるが、入試問題の予想ではなく、解答そのものの予測である。もう十五年以上も前の話ではあるが、予測の際に何か法則的なものはないか発見しようと試みたものの、当然発見することはできなかった。それでも二択、例えば今年はイかウと全教科全問題にわたって二択で候補を出し、最終的に一択に絞りあげた。そうして予測解答が出来上がったのだが案外ハードな作業でもあり、一方で簡単でもあった?と記憶してる。(簡単という言葉以外見つからない)解答予測の段階で気付いたこともあった。例えばリスニングで記述式の問題があった場合。その場合は解答欄に I caught a cold yesterday. So I cannot hear well.(昨日風邪をひきました。それでよく聴けません)と書けば、自分の過去の模試採点経験など(大学受験用だが)からお情けで1点ぐらいはもらえるんじゃないかとダメもとのアイデアをひねり出した。

そして弟と対面。1月下旬の真ん中辺りだったと思うが、作戦?を伝授した。まず記述式問題は原則全部捨てて、記号選択問題のみで勝負すること。数学は小問集合の第一問に命をかけること。そのうえで予測解答を渡して①これを入試までに全部覚えることと、②入試が始まったら一切自分では考えず、覚えた解答を解答用紙に書き写すこと。英語はリスニング放送など無視してよい。 覚えた予測解答を答案用紙に書いてから、自分のアタマで始めるが、絶対に100%予測解答が間違っているか、自分に自信があるとき以外は絶対に解答を変えないこと、数学で角度・面積、場合によっては計算問題である式の値が求められなかったらそれぞれこの数値を、複数出たらこの順番、直線の式は右上がりなら(例えば)y=2x-1、右下がりなら・・・と指導し、最後の最後に「笑ってる場合じゃないぞ!!(注意したが、予測解答を見てなぜか弟は最初笑っていた。驚いていたのかも)いいか、おまえはできないんだから。つべこべ言わずに言った通りにやること。それでも、いちかばちかだぞ!!」

結果のみを記すと弟は工業高校に合格した。大学受験生の兄は都内第一志望に不合格、県内の第二志望校に甘んじた(浪人せず進学したのだから、現役時全滅した自分なんかと比べれば立派なものだ)。

ちなみに私が予測した解答はどれぐらい当たっていたかということだが、照合作業をしたのは入試が終わってずっと後の6月上旬頃だったが、これについては非公表ということに。弟氏は弟なりに頑張ったんだ。堂々胸を張っていい。合格に向けての努力あっての合格だったのである、と断言できる。

 

※※後日この話を他社の関係者にしたことがあったが「それって合格すればいいってことですよね?」と思いっきりあきれた顔をされたことがあった。ちなみにその方の「受験なんてくだらないですよ」という複数回の発言(言葉)を私は覚えている。この発言が本音であるならば、思いっきりあきれる表情をすることはないと思うのだがどうだろうか

この記事をシェア

すべて無料!
丁寧にサポートさせていただきます!

お急ぎの方はこちら! 電話でもお伺いいたします!

フリーダイヤル(受付時間10:00~22:00) フリーダイヤル® 0120-20-7733