教室ブログ

2023.12.18

パラグラフリーディングに気を付けよう

一生懸命勉強してるのに成績が上がらないと、自分のやり方は間違ってるのかな?とかほかに何かいい方法はないかな?とか、ボクの様に怠け者ならもっと楽な方法ないかな?なんて思うこともしばしばだろう。

特に大学受験、特に英語の場合は膨大な英単熟語に英作文、難解な英文法にアタマをすり減らし、いよいよ最後にラスボス⇒長文読解が待ち受けている。おっとリスニングの存在も侮れないが、もっとも配点が高いのがやはり

長文読解だ。この長文読解問題も英単熟語と同様、いやそれ以上に特に大学受験生諸君の切実たる問題だ。

こんなに頑張ってるのに英語が読めない・・・。ふと実績のある塾や予備校のパンフレットをめくってみると、そこにある「パラグラフリーディング」なるコトバが目に入る。パラグラフリーディング??パラグラフってたしか「段落」って意味だよな?よくわからんないけど、でもなんかスゴそうだ!なになに「パラグラフリーディングをマスターして合格しよう?当スクールで勉強すればパラグラフリーディングがラクラク習得できるって!!

よし!ここに行こう!!パラグラフリーディングをマスターして第一志望校合格をゲットだ!!!

 

以上は極端な例だが、成績アップに悩む(中上位)大学受験生の心の弱さと無知につけこむ塾や予備校はあまりにも多い。というわけで今回はパラグラフリーディングについて解説するが、その前にひとつ断っておきたい。

ボクが今回パラグラフリーディングについて書こうと思ったのは、商業主義の塾や予備校から受験生を救うわけではなく、いよいよ来年に迫った新円切り替えに想いをはせたからである。この新円切り替えについても言いたいこと、書きたいことは相当あるが、今回はパラグラフリーディングだけ?にする。

まずパラグラフリーディングというのは実在する完全に正当かつ正統な英文読解メソッドである。しかし断言する。パラグラフリーディングを受講して成績が上がる⇒点数が取れるようになる大学受験生はごくわずかである。

進研模試で75、河合塾全統模試で70,駿台公開全国模試で最低でも常時60以上の偏差値がなければムリで、大多数の受験生は時間とムダ金で終わる。すなわちパラグラフリーディングとは上位生のためのものなのだ。

更に日本人には不向きだ。そもそもこのパラグラフリーディング、来年5千円札に印刷される津田塾大学の創始者である津田梅子が当時ごく一部、かつ本物のエリート秀才のみしか米国留学に行けなかった時代に、津田梅子がアメリカの大学で学んだ『アメリカの大学生が、評論文など比較的高度な文章を読むための方法論』をそのまま無批判的に日本に持ち込んだものなのである。米国留学から帰国した梅子ちゃんは「英文読解のストラテジー」(ストラテジーは戦略の意)なる本を書き、日本に初めてパラグラフリーディングを紹介した。

時は流れて昭和の時代。塾や予備校は生徒が欲しい⇒そのためには学校はもちろん、競合他社との差別化が必要となるが、おこでお目目を付けられたのがパラグラフリーディングだ。なんせアメリカ仕込みの正当かつ正統な英文読解法だ。幸いウチにはパラグラフリーディングを知ってる講師がいる。これを宣伝に利用しない手はない!!

というわけでパラグラフリーディングは特に大学受験業界に広まった。だから梅子ちゃんに非はなくて、むしろ商業主義に利用されたといえる。ちなみに津田梅子はいきなり津田塾大学を創ったわけわけでなく、最初は英語学校から始めたが、同じことは福沢諭吉の慶応義塾大学にも言えるが、英語学校が前進の大学は大学名が~塾となる。

パラグラフリーディングのなかみを見てみよう。トピックセンテンスものが出てくる。ひどい先生になると段落の最初の文はすべてトピックセンテンスと教えてるが、これは英語評論文の場合、段落冒頭にその段落の話題や要旨を表す文が来ることが多いからだが、これはあくまでも段落冒頭にその段落の話題や要旨を表す文が来ることが多いからであって、100%常にそうなることは当然ない。またメインアイディアなどディスコマーカーなど正直受験には不要ではないか?と思われるものが出てくる。更に言ってしまえば、このパラグラフリーディング、実は習得自体が難しいのである。たかだか日本国内の大学受験生がわずか一年と少しでマスターできるような簡単な代物ではない!ちなみにボク自身は、正直に白状するが「パラグラフリーディングができない」でも自分ができないからと言って批判してるわけでないことは、ここまで読んでくれればお分かりだろう。正統かつ正当だが「精糖ではない⇒甘くない」のである。

(大学)受験英語長文教授にパラグラフリーディングは不要である。ごまかされないでほしい。だまされないでほしい。とはいえ冒頭の段落に筆者のイイタイコトがくる場合が大学入試出題英語評論文には多い(特に早慶上智など難関私大。そういえばパラグラフリーディング教えますという講師は私大英語担当なことが多い)ことは事実だ。ボクはこれを演繹的な文章(結論⇒理由型:英語で言うとディダクティブロジック:Deductive Logic)、

反対の東大・東外大など国立に多い帰納的な文章(理由⇒結論型:英語で言うとインダクティブロジック:Inductive Logic)と事実を伝え、更にもう一つの型:文頭に疑問詞を用いた疑問文がくる問題提起型(→東大第一問や慶応大学法学部に多い。付け焼刃なパラグラフリーディングでは、特に後者は制限時間内で回答は不可能と思われる。難問だが良問である)と紹介し、入試出題英語評論文はこの3つのうちのどれかと話していた。

パラグラフリーディングできない自分が言うのもなんであるが、トピックセンテンスとかメインアイディアとかの定義があいまいで、まあ日本人はイエスとノーをはっきりさせない灰色あいまい好きな民族なのは分かるが、しかし日本の大学受験生にとってこれは不向きと感じる。

パラグラフリーディング同様に「英文速読」なるものも注意。伝説の名著:英文解釈教室の著者であり、わが母校である駿台予備校の英語科主任でもあった故伊藤和夫師は「ゆっくり読んでわからないものが、早く読んでわかるとはかぎらない」と巷にはこびる「英文速読」について苦言を呈されてるが、こちらもご用心を。ちなみにボクは大学一年時に塾講師や肉体労働でためたお金で当時JR代々木駅前にあった速読教室に通ったことがある。英文解釈教室や故伊藤和夫師(実際に授業を受けていた)、更に速読についてもいずれこのブログでふれるかもしれないので楽しみにしといてほしい。評論文の場合は、筆者のイイタイコトとその根拠が把握できて初めて英文を読んだといえるのである。

逆の場合を考えてみよう。駿台でボクの通っていた午前部理科Ⅰ類は理系だが受験大学の性質上記述対策も含めた現代文の授業もあり、その担当は藤田修一師であり、日本武道館の入学式であいさつ代わりにその年の東大入試第2問を一万人以上の前でテキストもプリントも何も用いず模範解答付きで解説してしまった講師であるが、その藤田師が難関大学入試用に開発した現代文読解メソッドに記号読解なるものがある。記号読解についての詳細は省くが

例えば何らかの事情で記号読解を学んだアメリカ人留学生が母国に帰った後で「ジャパニーズ・センテンス読解のストラテジー」を書き出版して記号読解を広めたらどうなるか?これは大学入試用であるからして当然海外で人気な日本の漫画はもちろん新聞小説その他には当てはまらない。極端かもしれないが、パラグラフリーディングも同じことなのである。なお藤田師の書いた参考書型問題集に現代文要説があり、理系ということもあって3分の1程度しかやらず(できず)、しかし面白いので入試が終わったら、大学生になったらまた読もう(読み解こう)ととっておいたのだが、いつの間にかどっかいってしまい、結局実現しなかった。

 

 

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