教室ブログ

2025.12.04

スヌンと韓国の社会事情について

スヌンは共通テスト

今日は、韓国の大学入試『スヌン』について書いてみたいと思います。

スヌンって何かというと、日本で言う共通テストにあたります。


少し韓国事情を調べてみたんですが、あらためて感じました。韓国の熾烈な受験戦争。
韓国の受験は、日本のそれとは比べものにならないほど、厳しいもの💦

韓国の受験生は、きっと毎日とてつもない重圧の中で生活している💦
日本の受験ももちろん大変で、ストレスで体調を崩す生徒もいますし、

受験の失敗から自信をなくしてしまう子もいる。
それでも、韓国のスヌンは別格ではないでしょうか。

スヌンは、一発勝負

日本のように指定校推薦、総合型選抜、公募推薦、私立の個別試験、二次試験…

といくつも選択肢があるわけではないようです。
共通テスト一本で、人生が決まる。年に一回の一発勝負。

受験当日は国全体の動きます。

本当にすごい。皆さんも報道で見た事があるかもしれません。
遅刻しそうな受験生がいたら、警察の白バイが受験生を試験会場に送り届ける。
パトカーで試験会場に直行する映像がニュースになる。
英語のリスニングの時間には、騒音にならないように飛行機の離着陸をずらす。
受験生のために、国が総動員で動く印象です。保護者も必死。

ここまでの受験文化は、日本にはありません。

勉強が好きな子や得意な子なら、まだ耐えられるのかもしれない。
でも、なかなか成績が伸びない子もいますよね。勉強が苦手な子。
そういう子たちは、今日まで、どれだけの不安を抱えてきたのか。
その親御さんは、どれだけの覚悟で支えてきたのか。どんな不安の中で生きているのか。
そう思うと、胸が痛くなります。

韓国受験が過熱する理由

韓国の受験がここまで過熱するのには理由があります。
産業構造が、日本とかなり違うのが一つあります。

韓国には、サムスン、LG、現代(ヒュンダイ)。
国を代表する巨大企業があって、そのような大企業入ることが、成功の道として強く意識されています。
学歴が人生を決める力が、日本よりずっと強い。成功への道が確定しているように感じます。

一方、日本はどうでしょうか。

意外と誤解されていますが、

日本は、まだまだ多様な産業が他国と比較して生き残っている国なんです。
自動車産業ではトヨタ、ホンダ、日産。
電機でも、ソニー、日立、富士通、パナソニック。

それら以外でも、ユニクロ、任天堂、ソフトバンクや楽天もある。

世界から観光客が絶えない地域もたくさんあって、地方にも産業の土台がまだ残っている。

世界で一番おいしい食文化。どこに言っても美味しいものが普通に食べれる。

アニメや漫画も世界一。

世界に誇る安全で優しい国。

日本は、大企業に入れなくても、何とか生きる道がある。
それは、外から見れば、とても恵まれた環境なのだと気づきました。

もちろん、韓国にも世界に誇る企業があるし、

世界一のKpopがある。

めちゃくちゃ面白い韓国ドラマもある。

とても美味しい韓国料理もある。

うちの生徒達は韓国のコスメに興味深々。

日本を魅了する独特な文化がありますね。

しかし韓国は国土も小さく、資源も少ない。北朝鮮とも複雑な関係性がある。

産業の多様性が日本ほど大きくない。
だからこそ韓国は「知識」「技術」「理系力」が求められ、
学歴に頼らざるを得ない社会構造があるのではないかと思います。

韓国の社会事情

韓国はある意味で、努力型・自己責任型の文化が、日本以上に強い。

そして、その努力を支えるため、教育費がとにかく高い。
家庭が破綻するほどの負担だと言われています。
住宅価格も異常に高い。ソウルへの一極集中。

家を購入する事ができないし、教育費も高すぎる。
結婚や出産をあきらめる若者も多く、少子化は世界最悪のスピードで進んでいます。

ここまで追い込まれる理由の一つに、高齢者貧困の問題があります。
韓国は、OECD加盟国の中でも最悪の水準と言われており、
年金制度が整っていないため、老後の生活不安がやばい。
若者も将来への不安が強く、心が休まる場所が少ない。

スヌンという受験の影に、韓国の社会事情を考えさせられました。

一人当たりGDPは韓国は日本を追い抜いて、経済がとても発展していてうらやましいと思っていましたが、

その土台には韓国の絶えまぬ凄まじき努力と競争社会にに置いて行かれる悲しみが折り重なっているのだと感じました。

韓国と日本

日本と韓国は、確かに違う部分もあります。でも、似ている部分も多いと感じました。
受験が人生を左右する文化がある。

教育格差や貧困問題。

どちらの国にも、明るい光はある一方で、その裏側に、深い影があるんだと思います。

今回、韓国のスヌンを調べてみて、
韓国の人たちの必死さや、そこにある葛藤を強く感じました。
ここまで頑張らざるを得なかった背景があるのだと知ると、
国同士の比較ではなく、どの国でも勝者と敗者が生まれやすくなっているという構造に気づかされます。

日本も韓国も中国も。国同士で分断しているのではなく、
それぞれの国の中で、経済的に余裕のある層と、そうでない層が分断されている。
そういう見方のほうが、現実を理解しやすい気がします。

未来との向き合い方

韓国のスヌンは、日本にはない、熾烈な入試制度です。
でも、そこに生きる人たちは、今日も必死で未来をつくろうとしています。
その背景を知れば、これは受験だけの話ではなく、
社会が抱えている課題そのものだとわかります。

 勉強はもちろん重要です。ただ、それだけでは足りません。

どうしたら社会の見方を広げられるのか。
どうしたら魅力あるものを生み出せるのか。
どうしたら、自分の力で世の中に風を起こせるのか。

そういう広い学びが必要だと感じました。

人と一緒でなくていい。恐れず、志をもって生きる。
点数や偏差値だけではなく、もっと大きな視野で世界を見ていくことができれば。
そこからあらためて、自分の未来も描けるようになるかもしれません。

子どもたちが点数のための勉強にとどまらず、
社会をどう良くするか、自分は何を生み出せるのか、

それぞれが自分の道を、納得して選べるように。
そして、未来の日本や世界を少しでも良くできる人に育っていけるように。

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