今日は、奨学金の話をしたいと思います。
日々、生徒や保護者の方と話していると、進路の悩みは山ほどありますね。
その中でも、学費や奨学金は避けて通れない悩みかもしれません。
大学に進学した人の半分ほどが、何かしらの奨学金を利用していると言われています。
数字だけ見ると、そんなに多いのか!と驚くかもしれません。
卒業して、社会に出る。働く。給料は思うほど上がらない。生活はそこそこ厳しい。
そんな中で毎月の返済が続く。
これが、じわじわ効いてくるんですね。
結婚が遠のいたり。
子育てが不安になったり。
まずは自分の安定が第一なり、
将来への一歩を踏み出しにくくなる。
返済の重さが人生まで揺らしてしまう。
奨学金を得ている人達の8割が、返済が負担になっているようです。
中には、学費を自分で支払をしているからこそ、学業に力が入るという意見も聞きます。
ひとつは、返さなくていい給付型。
努力や家庭の状況によって支給されるもので、本当の意味での支援です。
もうひとつは、貸与型。
これは簡単に言えばローンです。
住宅ローンや車のローンと仕組みは同じ。
利息がつきます。返済が必要です。
学費を払うための借金、と言ったほうが実態に近いと思います。
ここが奨学金問題の核心でしょう。
理系ならおおよそ年間150万円。
文系なら100万円ほど。
大学の学費は、じりじりと上がってきています。
4年間で計算すると、普通に大きな金額ですよね。
国公立でも年間50万円以上。
私立よりは負担が軽いものの、それでも決して小さくありません。
だから、奨学金なしで進学するのが難しい家庭は、本当に多い。
中学生や高校生と話していると、大学に行く動機がはっきりしていない子も少なくありません。
やりたいことがあるから行きたい。
これはわかる。
でも、
なんとなくみんな行くから。
安定した就職のために行ったほうがいいから。
4年間考える時間がほしいから。
こういう理由も実際多いです。
別に悪いことではありませんし、私も同じでしたのでまったく否定はできません。
もし自分が今、高校生に戻って進路を考えるとしたら。
大学は、自分への投資と考えます。
例えば理系なら600万円。
文系なら400万円。
その金額分のスキルや経験を、ちゃんと自分に積めるのかどうか。
ここを一度立ち止まって考えることは、大切だと思います。
自己投資にならないなら、無理に進学をしなくてもいいのではないでしょうか。
もちろん、学びたい気持ちがあるなら進学すべきです。
知識、人脈、経験。大学には確かに価値があるのではないでしょうか。
ただ、奨学金を使う場合は、
自分の未来にその価値がちゃんとつながるのか。
これは考えておくべきポイントではないでしょうか。
経済的な余裕がある家庭ばかりではありません。
むしろそうでない家庭のほうが多いかもしれません。
だからこそ、進路の相談は希望だけでなく、お金の問題も一緒に考える必要があります。
将来につながる選択か。
無理のない返済か。
自分が学ぶべき事は何か。
そのうえで進学するなら、きっと意味のある4年間になるはずです。
奨学金問題は、ただの制度の話ではありません。
その子、その家庭、学校、日本全体の問題の話でもあります。