2023年は、日本社会にとって大きな節目となる出来事がいくつもありました。
その中でも特に大きな話題となったのが、ジャニーズ事務所の性加害問題です。
発端は、イギリスBBCの報道でした。
長年の噂として語られてきたものが、明確な問題として世界に向けて発信され、
そこから一気に日本国内でも議論が進んでいきました。
被害を訴える元タレントの方々が次々と声を上げ、事務所側も性加害の事実を認めて謝罪会見。
社名はスマイルアップへ変更され、補償業務を中心に行う体制へと移りました。
ただ、個人的に感じるところもあります。
この問題は、本当に今年突然明るみに出たものだったのか。
噂として多くの人が知っていたのではないか。
それを、なぜマスコミは長年報じなかったのか。
被害者が声を上げられなかった背景には、
芸能界やメディアに存在する権力構造が大きく影を落としていたように思います。
SNSやコメント欄でも、こうした声が多く見られました。
1、東山さんばかりが前に出されているのはおかしい
2、昔から噂はあったのに、なぜテレビ・新聞は報じなかった?
3、BBCが報じなければ、今も隠されていたのでは
4、まずはメディア自身が当時の沈黙を検証すべき
5、忖度文化や同調圧力がこの結果を生んだのでは
私自身も、確かに同じように感じるところがあります。
問題の中心にいるべき人が表に出てこないまま、一部の人だけが矢面に立たされているような印象もありました。
ただ、今世界が注目しているのは、性加害そのものだけではなく、
こうした問題を、知りながら止められなかった構造。そのものなのだと思います。
タレント、スタッフ、メディア、スポンサー……いろんな立場の大人たちが沈黙し、結果として被害が長年続いてしまった。社会全体で性暴力の隠蔽を黙認していた‥。
日本社会に根強く残る忖度や空気を読む文化が、大きな問題としてあらためて浮かび上がった一年でした。
教育に携わる立場としても、考えさせられるものがあります。
子どもたちには、自分の意見を言えること、違和感を覚えた時に声を上げられること、そして誰かの苦しみに対して無関心にならないこと。
こうした力を大人が守り、育てなければいけないと強く感じました。
2023年は、日本が何を大切にする社会であるべきかを問い直された一年だったのかもしれません。