1994年、私は高校1年生になりました。
学校は都心にあって、毎朝の通学ラッシュに巻き込まれ、とても大変でした。校庭はコンクリートで、緑の芝生とは無縁。そんな環境もあってか、私は部活動に入る気になれず、それまで大好きだったサッカーを辞めてしまいました。人生のほとんどをサッカーに捧げてきた私にとって、それはとても大きな喪失感で、高校生活の中でも心に重くのしかかっていました。
1994年の夏、ニュースを見て驚いたのが「松本サリン事件」。
長野県松本市で化学兵器サリンがまかれ、7人が亡くなり、多くの方が被害を受けました。まだ高校生の私でも「世の中にはこんな怖い事件があるのか」と強烈に記憶に残りました。
そして翌年1995年には、地下鉄サリン事件が発生。通学で使っていた路線の近くでも起きた出来事で、恐怖は一層リアルなものでした。
日本の町からゴミ箱が撤去されたのもこの頃からです。オウム真理教や麻原彰晃の名前は、毎日のニュースで耳にしない日はありませんでした。
一方で、この頃はスポーツやエンタメも熱かった!
ボクシングブーム
薬師寺保栄と辰吉丈一郎の統一王座決定戦。辰吉選手の人気は本当にすごくて、今の井上尚弥選手に匹敵するどころか、それ以上の熱狂がありました。
イチローの快挙
オリックス時代のイチロー選手が200本安打を達成! 当時はJリーグ人気が圧倒的でしたが、イチローの活躍がプロ野球人気を再び盛り上げました。
ダウンタウンの全盛期
松本人志さんの著書『遺書』がとても売れてました。ダウンタウンの勢いは本当に止まらず、90年代前半の東京進出で一気に「時代の顔」になっていました。
音楽といえば広瀬香美
ゲレンデに行けば必ず流れていた『ロマンスの神様』。ミリオンヒットを飛ばし、まさに90年代を代表する冬の歌でした。
1994年には村山内閣が発足しました。高校生だった私には正直ピンと来なかったのですが、「日本のリーダーが変わる」という出来事は、時代の区切りを感じさせました。
1994年は、私にとって「大好きだったサッカーを失った喪失感」と「世の中の大事件・大ブーム」が交錯する一年でした。
不安や恐怖もあったけれど、スポーツや音楽、エンタメの盛り上がりが日々を彩ってくれていたのも確かです。
今思えば、この喪失感や時代の空気を体験したことが、今の私の「人の気持ちに寄り添う力」にもつながっているのかもしれません。