教室ブログ

2021.07.29

「進化」についての2つの誤解

こんにちは。Wam種池校の車です。

今回は「進化」という言葉についての記事を書こうと思います。
実は昨年、藤の木校に勤務していた頃に同じような記事を書こうと思ったことがあるのですが、昨年の弊社のスローガンがズバリ「進化」だったため、会社の方針にケチをつけていると受け取られたらマズいなと思いやめておいたのでした。

 

元々は生物学用語である「進化」ですが、なんだかかっこいい響きだからか、一般的にもとてもよく使われる言葉ですよね。
学術用語が一般化されるときに起こりがちなのが、本来の意味と微妙に違う使い方をされてしまうということです。
進化という言葉に関しては、2つの誤解があると私は思っています。

 

1つ目は、進化とは世代を超えて変化していくことであり、一つの個体が成長するのは進化ではないということです。
つまり、赤ちゃんが大きくなっていったり、オタマジャクシがカエルになったりすることを進化とは呼びません。それは成長過程です。
この誤解が生まれてしまった原因として、ポケモンの存在が結構大きいのではないかと密かに疑っています。ポケモンの世界で言う進化は、まさにオタマジャクシがカエルになっているようなものなので、明らかに進化ではありませんね。
最近では、たとえばスポーツ選手についての記事でも、技術が向上したことを「進化した」と言ったり、もはや「成長」と「進化」がほとんど同じ言葉として使われている感すらありますが、本来の意味とは違っているということは、理系の教育者として伝えておきたいです。

 

2つ目は、進化とは目的意識を持って成されるものではないということです。
ウサギの耳がなぜ長いのか、聞いたことがある人もいると思います。
野生の世界においては、ウサギは他の動物たちから狙われやすいため、外敵の存在を察知してすぐに逃げるということが生存のために必要です。
そのために長い耳を持ち、遠くから敵が近づいてきたときのかすかな音も感知できるようになったという説が有力です。
ただし、ここで気を付けていただきたいのは、別にウサギたちは耳を伸ばしたくて伸ばしたわけではないということです。
人間でも身長が高い人と低い人との間に数十センチの差があるように、ウサギたちにも個性があり、耳が長い者と短い者が生まれるのが普通です。
厳しい自然の中で、耳が短いウサギは死んでしまい、耳が長いウサギは生き残り子孫を残すことができたのです。その結果、現在生きているウサギたちは皆耳が長くなったというわけです。(これを自然淘汰といいます)
つまり、自分から「進化するぞ」と思って進化した生き物などいないのです。一般的に進化という言葉から受ける印象とは違うかもしれませんが、それが本来の意味での進化です。

 

ということで、今回は最近の言葉の使われ方の間違いを指摘するという、頑固オヤジのような記事になってしまいました。
これだから理系人間は面倒くさい、と思われてしまったかもしれませんが、まあそれは否定しません。
いつもWamの教室で生徒たちにこんな面倒くさいことばかり言っているわけではないのでご安心ください。

でも、わかってほしいことはキッチリ説明しますよ。

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