教室ブログ

2019.02.13

北方領土問題について

個別指導Wam野口校の小藤です。

2月7日は「北方領土の日」です。東京の国立劇場では北方領土返還要求全国大会が開かれ、例年より2割も多い約1800人が参加しました。今年は政府の方針を反映し、例年使われていたアピール文から「北方四島が不法に占拠されている」という言葉がなくなりました。今回は北方領土問題について考えてみましょう。

北方領土とは、北海道の北東にある歯舞(はぼまい)群島、色丹(しこたん)島、国後(くなしり)島、択捉(えとろふ)島の島々のことです。ロシアでは南クリル諸島問題といいます。北方領土の総面積は5,003平方㎞で、千葉県や福岡県と同じくらいの大きさになります。

北方四島、千島、樺太を含む蝦夷地は、1799年から1800年にかけて江戸幕府直轄地として日本人が開拓しました。1855年の日魯通好条約は平和的・友好的な形で調印され、日本とロシアの間でそれまで自然に成立していた択捉島とウルップ島との間が国境であるとしています。なお、現在「北方領土の日」とされている2月7日は、この日魯通好条約が調印された日にちなんでいます。1875年の千島樺太交換条約では占守島からウルップ島までの千島列島の島々が日本の領土に、樺太全島がロシアの領土になりました。さらに日露戦争の結果、1905年のポーツマス条約で樺太島の北緯50度以南が日本の領土になりました。

1945年8月15日に日本はポツダム宣言を受諾し、太平洋戦争は終結しました。しかし、その3日後の18日にソ連軍は千島列島へ侵攻を開始し、28日に択捉島、9月1日には国後島・色丹島、3日には歯舞諸島を占領し、1946年に自国の領土に編入、1948年までに北方四島に住んでいた約1万7千人の日本人は強制退させられました。侵攻するソ連軍に掠奪・暴行等の被害を受けていると聞いた根室町長安藤石典は「陳情書第一号」をマッカーサーに提出しています。この内容を簡単にまとめると次のようになります。歯舞諸島は北海道根室の一部であり、色丹島、国後島、択捉島は日本人が先祖代々居住してきた日本の固有の領土であること。千島樺太交換条約によって択捉海峡以北の島々が日本領となり、樺太がロシアの領土となったこと。安藤石典のこの主張が受け入れられることはありませんでしたが、現在の四島一括返還論として政府と世論の共通認識となっています。

1951年のサンフランシスコ平和条約では、日本は「千島〔クリル〕列島並びに日本国が 1905 年9月5日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した 樺太〔サハリン〕の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原および請求権」を放棄することを承認しました。このことに関して、内閣府のHPには「※サンフランシスコ平和条約で、日本は南樺太と、千島列島を放棄しましたが、この条約にいう「千島列島」には北方領土は含まれていません。」と書いてあります。しかし、南樺太と千島列島がヤルタ会談を受けて成立した「極東諸問題に関する三大国協定」と同じ内容でソ連に返還されることは明記されておらず、結果としてソ連はサンフランシスコ平和条約への署名を拒否しました。そのため、日本はソ連との平和条約を別途結ぶことになりました。しかし、国後島と択捉島の帰属について合意できませんでした。なので、共同宣言を締結し外交関係を回復しました。これが1956年の日ソ共同宣言です。

1992年3月21日に、ロシア側から問題解決の非公式な提案が出されました。一般に「92 年秘密提案」や「クナーゼ提案」と呼ばれています。その内容は、新聞記事や記者が取材内容などをまとめた出版物でそれぞれ異なる点がありますが、歯舞諸島・色丹島の引き渡しと国後島・択捉島の交渉が区別されている点は共通しています。この提案はソ連が崩壊しロシア連邦が誕生してすぐに出されたものであることから、ロシア側が最大限に譲歩したものであると考えられますが、公式提案にはなりませんでした。それは国後島・択捉島の引き渡しが確約されていないため日本がこの提案を受け入れなかったこと、またロシア国内でもナショナリズムの風潮によって批判が相次いだこと等が背景にあります。

 

 

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