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2023.02.28

【共通テスト現代文10年分講評ー17】2022年①

【2022年 評論文】

【檜垣立哉

『食べることの哲学』】

【藤原辰史

『食べるとはどういうことか』】

 

 

【全体講評】

 

やや難。25分。

 

大きく傾向が変わった。

まず、漢字問題に

「異なる意味を持つものを選べ」

という新傾向。

そして、近年の

「会話」「批評文」「ノート」

のような「補足レベル」を超え、

文章が完全に2つになり、

それらの共通点・相違点を

問う問題が登場。

そして表現に関する問題が復活。

 

難易度としては前年比やや難化。

 

しかし論理を駆使すれば

満点が狙える良問揃いなのは

相変わらず。

いかんせん選択肢が紛らわしいが

それは流石に致し方なしか。

 

個人的には大好きな宮沢賢治、

しかも大好きな「よだかの星」

でテンションでぶち上がり。

 

 

【本文要旨】

 

<文章Ⅰ>

よだかは実存の悩み

(自分の存在価値に対する懐疑)

を抱えている。

そしていつか鷹に食べられて

しまうことを恐れつつ、

自分も他の命を奪っていることに

苦悩している。

そして断食して死のうとしている。

そしてそれはわれわれ人間にも

共有する苦悩だ。

どちらかと言えば

「食べること」に対して

マイナスイメージ。

 

<文章2>

「あなたは豚肉です」と、

「食べられる側」の視点から描く。

人間は「食べていない」、

「食べさせられている」。

食べることは「バトンリレー」だ。

地球全体の生命の循環の一環だ。

どちらかと言えば

「食べること」に対して

プラスイメージ。

 

<共通項>

「食べること」と

「生きること」の関係性

 

 

【設問解説】

 

<1>漢字問題。標準。

アが②、イが③、エが④、

ウが②、エが③。

新傾向の「異なる意味を選べ」

はとてもいい問題だと思う。

「世襲」だけが「攻める」ではなく

「あとを継ぐ」の意味。

「関与」だけが「与える」ではなく

「関わる」の意味。

 

<2> 心情問題。標準。

①が正解。

②は「自身も他の命を奪っている苦悩」

という大切な要素がなく×。

③は「弱肉強食の関係を嫌悪」が×。

④は「新しい世界を目指そう」が×。

⑤は「遠くの世界で再生しよう」が×。

 

<3> 内容説明。標準。

①は「自己の無力さに落胆」が×。

②が正解。

③は「自己を変えようと覚悟」が×。

④は「自己の罪深さに動揺」が×。

⑤は「自己の身勝手さに絶望」が×。

「消去法」というより、

②の「自己に対する強烈な違和感」

がズバリ。

 

<4> 内容説明。標準。

コレも積極法で、

「別の生き物への命の受け渡し」

を含む②がズバリ正解。

 

<5> 表現。標準。

コチラは消去法で。

①は「心情」は

述べられていないので×。

②は「厳密に」とまでは言えず×。

③は「食べることの特殊な仕組み」

が×。

④が正解。

⑤は「誇張して表現」が×。

 

<6(i)> まとめ問題。やや難。

①は「弱者の生命の尊さを意識」

が×。もっともらしいが本文にない。

②が正解(しかし消去法)。

③は「意図的に」が逆で×。

むしろ無意識に食べてしまっている。

④は「食物連鎖から生命を解放」が×。

「ぞっとしながらも食べる」

=「自己の生命を否応なく存続させる」

とする②をすぐに選ぶのは難しいが、

他の選択肢が明らかに間違い。

 

<6(ⅱ)> まとめ問題。やや難。

①は「自他の生を昇華」が×。

「自己の生を昇華」なら

本文に記載があるが、

いつの間にかそこに

「他」が入り込んでいる。

②は「飢えて死のうとすること」

=「生命が本質的には食べていない」

ではないから×。

③が正解。

④は「食べることによって

生じる序列」が×。

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