教室ブログ

2015.05.30

都構想が教えてくれたこと。

大阪中を賑わせた大阪都構想否決のニュースの衝撃の余波は、庄内校にも届きました。生徒も講師も話題はそれでもちきりで、反応は様々でした。教室には新聞の一面とそれに対するそれぞれ賛成・反対の立場を取った知識者の反応を掲示しています。それを見ながら、生徒は色々な意見を述べてくれました。

 

ここで個人的な政治に関する意見を述べるつもりは毛頭ございませんが、とても興味深いと感じたのは、やはり教室でも賛否はほぼ均等に分かれていた点です。若い世代が多い講師陣からは賛成派が多いように感じましたが、生徒からの声はほぼ半々。彼らになぜそう思うのかと聞いてみると、拙い言葉ながら自分の考えを伝えてくれました。

 

僕が一番面白いと感じたのは、子供たちの意見はほぼご家庭での意見と一致していたという点です。反対だと言っていた生徒に「お父さんお母さんともそういう話するの?」と聞いてみると、確実に「お父さんもお母さんも反対だった。」という返答が返ってきました。

 

今回の都構想の投票で、五十代以下では過半数が賛成したにもかかわらず、六十代以上の反対がそれを逆転したという結果が大きく報道されました。「シルバーデモクラシー」なる言葉がメディアを行き交い、中には「自分の余生の安泰を重んじた老人が若い世代の希望を摘み取った」という極論も。

 

しかしある生徒はそれに対し、「でもお年寄りってめっちゃいろんなこと知ってるやん。若い人よりいっぱい経験もあるし。」と話しているのを聞き、とてもいい感性を持っているなと思いました。

 

学生最後の春休みに七十になる祖母に四年ぶりに会いに行ったとき、彼女が辟易するほど質問攻めにしてしまいました。小さい頃の日本はどんな国だったのか、どんな生活をしていたのか、そこから日本はどう成長していったのか。想像もできないような話をたくさん聞きました。どっぽん便所に溜まった糞尿を桶に入れて運ぶ仕事をする人がいたこと、牛を使って田んぼを耕す風景をそこかしこでみることができたこと、亡き祖父の結婚した頃の給料が月八千円しかなかったこと、家にお風呂はなく近くの家に借りに行っていたこと、新しいものがどんどん増えていったこと、祖父は新しいものを集めるのが好きだったこと、出たばかりの計算機やワープロや、僕にはよく分からない色んな機械のこと。

 

そんな時代から今のこの世界を生きてきた人たちが、子供や孫を含む若い世代の将来のことを一片たりとも考えず、自分の余生だけを優先して投票したとは僕にはとても思えないので。だからその生徒の言葉には本当に感動しました。なかなかそう言える若い人にはめぐり合えないので。結構こう、みんな肩入れしちゃうじゃないですか。自分の世代に。

 

きっとこの子はおじいちゃんおばあちゃんと普段から接する機会が多いんじゃないかな、なんて。本当のところは知りませんけど、でもきっと。

 

ここで言いたいのは、やっぱり子供には家庭の影響力って物凄いんだということです。中3や高校生以上になってくるとだいぶ話は変わってくるとは思いますが、でも親は反対だけど自分は賛成だ、という声はまず聞かれなかった。逆に家でそういう話をしない子は、都構想のことを何も知らなかった。(さすがにこれには驚きました。とぼけただけだとは思いますが。)

 

勉強に関してもきっとそうだと思うんです。やっぱり教育に対する家庭の意識は、子供に物凄く伝わる。いい悪いじゃないですけど、とにかく伝わるんです。子供たちはスポンジのように色んなことを吸収してくれます。だったら僕らは伝えないといけない。それが僕らの使命なんだから。

 

愛する故郷、大阪を揺るがした都構想否決のニュースは、伝えることの大切さを再確認したできごとでした。皆さんにとっての第二の家庭として。

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