教室ブログ

2022.04.22

【城の崎にて】

こんにちは。Wam河北校です。4月も残りあと8日。来週からはゴールデンウィークに突入ですね。この数年を経

て、それぞれの「新しい楽しみ方」が生み出されて、「楽しめない事」が減った方もいらっしゃるでしょうか?如

何にしても、恐らくお休みが多くなるこの時期、皆さんはどう過ごされますでしょうか?ちなみに、そういう私は

と言いますと、特に未だ何も考えておりません(汗)長い休み、一体何をして過ごそうか・・・?と言う所で、過

去に高校の国語で(一応)学習した志賀直哉さんの「城の崎(きのさき)にて」と言う私小説(作者自身を主人公

とした小説)が引っ掛かりました。志賀さんの場合は、事故にあった傷を癒す為の養生が本来の目的ではありまし

たが、一人きりでの長い長い休みが続く中で、ルーティンワークも一通り終えると、次第に徒然になり、色々と

「考える余裕」が出て来たり、時間を持て余してしまう傾向になるのは、今の時代にも通じる物がある様に思えま

す。そういう意味では、ある程度「忙しい」とか、人との関わりによって、するべき事が湯水の様に溢れてくる事

は、休みの日が恋しいという心境とは矛盾する様ですが、程々にあってよいのも知れませんね(笑)志賀さんは事

故に遭われた故での養生休暇であるので、決して批判ではないのですが、

休みすぎも実は、「悪い思考」へ自身を誘わ過ぎない様にする意味では、一考物である様にも思えます。話変わっ

て、今更ながら、この作品は「生死(意識のあるなし)の不思議」さや、「死」やそれを連想する物が自分の隣に

ふっとやって来て(一瞬)「死」を意識する時等、年月を経ると実感を帯びてくる様な「普遍的」な事柄がテーマ

になっている様な気が致します。事故に遭った作者が「フェータル(致命的)」な傷では無いと、聞いて喜んだ自

分に対し、もし、致命的であると聞いた自分であれば、どう思ったか?と比較する描写。仲間は「いつも通り」忙

しく働いているその脇で、既に亡骸になってしまっている一匹の蜂。人間達に石を投げられながらも、「生きよう

として」必死に溺れ死ぬまいと泳ぎ続けるネズミ。作者の不意により、投げた石が当たって動かなくなってしまっ

たイモリ(の亡骸)。人間である、作者自身とそれ以外の幾つかの生き物とを引き合いに出し、「生死」を作者の

現状と心境とを交えて描写している様に見えます。蜂やヤモリは亡骸になりましたが、でもそれまでは生きていた

のですね。「死」を迎えると肉体は「動かなく」なりますから、表情的な「喜怒哀楽」もありません。文中の言葉

に「死を恐怖する」とありますが、作者の意図の中だけに留まらず、何に対して「恐怖」するのか?その意味合い

や理由は、多分人によって違って来るでしょうね。「死」を迎えると、今この「自分」の「自我」や「意識」はど

こへ行くのか、と考えるからか?「病」と戦う過程、つまり生きながらの痛みや苦しみが耐え難いから(耐えうる

自信が無いから)か?「いつまでも生きていたい」と思う様なこの世への愛着や未練があるからか?思い付け得る

限りでも切りがない感じです。作者自身、もし「致命傷」だったとしたら、という自分と、実際人間達の行為を搔

い潜り(かいくぐり)ながら、必死に泳ぎ切ろうとするネズミの姿とを重ね合わせる描写には、「それ」でも「生

きる努力」をしようとする、もしくはするのではないか?と言うネズミの行為に恐らく本能的に走る下りは、動物

も人間と(人間も動物と)やはり「変わらない」のだろうか?と読み返してみて、改めて考えた次第です。表現が

悪いですが、人間も「動物」の一つではないかと思うので、やはりそうなるのは「自然」なのかもしれませんね。

イモリの作者の行為による不意な「死」も、いつ「死」がやって来るかはわからない、と言う警告にも思えます。

もしかしたらば作者との因果による「フェータル(運命的)」なイモリの寿命だったかもしれませんが、作者の投

石の「当て」が外れて、「予想だにしない」な「死」がイモリにやって来てしまったという事は、やはり、「他人

事」では無い、という気が致します(基、石を投げなければよかったのでしょうが・・・(汗))。「不意」に死

んだイモリと、「有事」により「無事」生きている「自身(作者)」の対比も個人的にはこれまた「奇怪」です

(汗)。作者の心境や、上記幾つかの生き物達の「生死」の様相を目で読み追っていると、「一日一日」を「でき

る範囲」で「気を付けながら」生きる事が大切と言われている気が致します。4/29(金)~5/5(木)までゴールデ

ンウィークの休講期間に入ります。皆さん、お休みが多くなるでしょうから、体調はもとより、「事故」や「有

事」には、気を付けてお過ごし下さい。

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