教室ブログ

2021.06.07

vol.18 読解力アップの秘訣は?

 

こんにちは。個別指導Wam香川、鶴市校教室長の内海章雄です。

 

「漢字は得意だけど、読解力がなくて国語が苦手」

「普段本を読まないので、読解力がない」

など、『読解力』という言葉についてよく耳にします。

 

ここでの『読解力』とは、主に国語という教科における物語や小説、評論文、随筆文、古典といった題材について、たとえば文中から筆者の意見や登場人物の心情を正確かつ詳細に読み取るといったことであり、日本の国語教育において長年求められてきた伝統的な『読解力』のことだと言えます。

 

私にとって、学生時代の国語のテストにおける読解は、本文中から正しい答えが書いてある部分を探し出し、設問に書かれてある答え方の指示に合うように該当する文を抜き出したり、あるいは加工して書く「作業」でしかありませんでした。文章全体を読まなくても、指示語(これ・それ・あれ・どれ)や接続語(つまり、しかし、たとえば等)に注目してその前後を探すと、だいたいは「予想があたる」のです。

小手先のテクニックとも言えないような方法で、ある程度は点数が取れてしまうため、文章も本も熟読することなく生きてきた私は、当然のことながらその後の人生で大変苦労することになります。

 

子どもたちの「読解力低下」が指摘され始めて久しいですが、これはOECD(経済協力開発機構)によって2000年から3年ごとに実施されている、国際的な「生徒の学習到達度調査」(PISA)の結果に起因します。

 

PISAは義務教育修了段階である15歳の生徒を対象とし、「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」を主要3分野として調査、2003年調査には41カ国・地域から約27万人、2006年調査には57カ国・地域から約40万人が参加しています。

2003年調査では、日本の高校生が数学的・科学的リテラシーにおいて1位グループであったのに対して「読解力」だけが14位であり、日本の教育関係者は大きな衝撃を受けました。3年後の2006年の調査においても日本の読解力は15位とふるわず、その後の文科省の政策に影響を与え、学校教育の変化を後押ししてきました。本離れの深刻化さが認識されていた2000年代前半までは、とにかく不読率を下げ、読書冊数を増やすことが重視され一時的に順位が上昇しますが、2018年の調査では前回の8位から15位へと再び大きく順位を落としています。

 

PISAにおける「読解力」とは、単に文章を読んで意味を理解する能力のことを指しておらず「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考し、これに取り組む能力」と定義されています。PISA調査では当初から一覧表、書式、グラフ、図を使ったテキストを用い、物語、解説、論証などの様々な形式の文章をテストに用いており、2009年調査以降は印刷したテキストだけでなく電子テキストも扱わせています。

 

つまり、日本の国語教育における伝統的な「読解力」と、国際的に求められるPISA型「読解力」では意味するところが大きく異なるため、「とにかく本をたくさん読みなさい」というアドバイスは読解力アップのための根本的な解決策とはならないでしょう。

本を読むこと自体が意味をなさないわけではなく、問題は読書の「質」です。前述した私自身の読書の質では、従来型の国語のテストでは得点できたとしても、今の学生が求められている能力をみるためのテストでは、到底太刀打ちできません。

 

PISAの調査を基に文部科学省がまとめた「読解力向上プログラム」には、「テキストを理解し、評価しながら、読む力を伸ばす取組の充実」「テキストにもとづいた自分の考えを書く力を向上させる取組の充実」「さまざまな文章や資料を読む機会や、自分の意見を話したり書いたりする機会の充実」という3つの重点目標を基本に、国語の授業だけではなく算数や理科などの各教科、また総合的な学習の時間等を通じて改善していく必要があるとしています。

 

今の「読解力」にはインプットではなくアウトプットの力を求められています。それゆえ、これまでの読書に以下の3点をプラスすることで、その質を変えられると考えます。

 

①本に限らず新聞やインターネット、あるいは商品の説明書など、あらゆる文章を読んでそのテキストやデータをもとに書かれている情報の質を判断する

②著者の意見に対して賛否両面の立場で理由を明確にし自分の意見をまとめる

③文章、資料から得た情報を自身の生活にあてはめて、どのように行動するかを考え、短い文にまとめる

 

小学校低学年までであれば、やはり親の読み聞かせが効果的だと思いますが、いわゆる「通し読み」ではなく、絵本であれば場面ごとや挿絵の1つ1つに対して「どうしてかな?」「自分だったらどうしたい?」という質問をしてあげることで、その後の読書の質が変わってくるのではないでしょうか。

こうした質問は、家族でテレビを観ている時にもできますから、家庭でのコミュニケーションの一環としてPISA型読解力のアップを図ってみるのもいいかもしれませんね。

 

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