教室ブログ

2019.04.30

磁性

こんにちは、Wam六十谷校の川口です。

水の反磁性について実験した動画がおもしろかったので、磁性について調べていました。その動画は葡萄の実を天秤のように吊り下げてネオジム磁石を近づけると、磁石から離れるように動くというものです。

世の中の全ての物質は強磁性体、反磁性体、常磁性体に分類されます。強磁性体は磁場により磁化されて磁石となるFe,Co,Ni他それらの合金などで、反磁性体は強い磁場の中に置かれると逆向きに磁化されて反発するものです。多くの物質はこれに該当します。常磁性体は、磁場がない時は磁性を持たない物質です。磁化率は温度に反比例し、強磁性体、反強磁性体が常磁性体に変化する温度があり、キュリー温度、ネール温度と呼ばれています。O2,CO,SiO2なども常磁性体のようです。

水の反磁性は視覚的にモーゼ効果とも言われていて理論上は数百テスラ以上の強磁場をかけると海面も割れることになります。また、逆に液体を磁性体にすることで磁石に液体を集める逆モーゼ効果という現象も観測できます。比重が同じ液体ならネオジム磁石の0.5テスラ程度の磁場でも視覚的に分かるほどに動きがあるので、エンハンストモーゼ効果と言われ、それを利用したものも多くなっているようです。

昔はネオジム磁石も手に入りにくいものだったのですが、最近は安価で入手できるのでいろいろな実験が手軽に行えます。また、磁性流体という砂鉄の液体版のようなものを使ったインテリアのような商品も販売されはじめています。磁性流体はNASAが無重力下で液体をうまく動かすために研究していたもので、HDのシール材などに使われています。磁性のある微粒子が界面活性剤でコロイドになることで同じようなものになるので、鉄粉を含むトナーなどの粉と油を混ぜることで自作することもできます。これは自由研究には良さそうだと思いましたが、配合の調整は少し難しいようです。スパイク現象というハリネズミのように液体が無数の棘のような形状で集まることを利用した磁性流体アートもいくつか見てみたのですが、CGのように非現実的な現実感があり美しいです。

生体物質にも反磁性のものがあり、蛋白質繊維のフィブリンは磁力線に平行に、コラーゲンは磁力線に垂直に配向します。細胞膜や赤血球の磁界配向も報告されているようで、付着細胞の配向制御に応用が試みられています。体内に強磁性を有する生物もおり、磁性バクテリアやミツバチ、ハトなどは体内のマグネタイトを地磁気方向に配向し、力学的ストレスを神経系に作用させているようです。腫瘍治療のハイパーサーミアや突然変異誘発頻度のような遺伝子への影響の研究も進んでいるようなので、磁性の可能性の大きさを感じました。超伝導体の完全反磁性や金属中の自由電子によるランダウ反磁性などは古典力学では扱えないので、やはり量子力学を学ばないといけないと感じます。

この記事をシェア

すべて無料!
丁寧にサポートさせていただきます!

お急ぎの方はこちら! 電話でもお伺いいたします!

フリーダイヤル(受付時間10:00~22:00) フリーダイヤル® 0120-20-7733