教室ブログ

2019.03.02

国語力

「自分の作品が入試問題になっていて、設問に『作者の最も言いたい事は次のうちどれか』と5つ選択肢があったんだけど、全部自分の言いたい事だったんだよな」と以前作家の遠藤周作が言っていました。その作品自体を書いた作家本人の言葉としてとても印象深く記憶に残っています。

「国語入試問題必勝法」という清水義範の作品は、大学入試の国語の問題を皮肉っていてしかもなるほどと感心させられる秀作でした。一度読んでみる事をお勧めします。問題を解くアプローチの仕方がなんともユニークです。

 

国語の読解問題は、作者本人の意図を考えるのではなく、問題作成者の意図を汲み取るというとても奇妙は図式になっています。だから、国語の読解問題を指導する際には、問題文に書いてある事だけ(例え自分の道徳観、倫理観と反していたとしても)しか答えにはならない、と教えなくてはいけないのです。

そんな読解問題も2020年度の共通テストから趣を変えるようです。

モデル問題例というものが既に発表されていますが、何と、月極駐車場の契約書と行政機関の広報資料が読解問題の例となっています。

読解ではなく情報処理能力、読み取る深さよりも速さが評価される時代へと移行していくようです。例え作家本人ではなく問題作成者の意図を考えるとしても、小説としての作品を読む方が『国語力』としてしっくり来ると、個人的には思います。

小説よりも契約書の類を速く正しく読み解く事が『国語力』となろうとしている事に寂しさを覚えるのは私だけでしょうか?

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